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山中千尋「ラッハ・ドッホ・マール」
端正なのに激しくて…
ユニバーサル UCCJ-2052 ¥3000
インディーズ時代から安定した人気を誇った山中千尋のメジャー2作目は、軽やかでいながらどこか哀愁が漂う、この女性ジャズピアノ奏者らしい作品に仕上がった。

その魅力はたとえば幕開けの「カン・ビロン・ヴリュ・ダンセ」にぎゅっと濃縮されている。原曲は欧州の伝承歌だそうだが、導入部での打楽器群などラテン的な要素がその旋律と見事に絡み、哀愁をいっぱに漂わせる。

なによりも魅力は、即興演奏部分の端正さだと思っている。たとえば女性ピアノ奏者の先輩であるジェリ・アレンの「RTG」や自作曲「ナイト・ループ」では疾走するリズムに乗せてワイルドに主題部を奏でるが、即興部分はあくまで端正に展開させる。

そんな端正さが十二分に行き渡った演奏が、やはりラテン風味の「ザ・ドルフィン」やクラシックのフリッツ・クライスラーの「愛の悲しみ」だ。

CDで聴く限りは、上原ひろみのようなけれん味には欠けるように思う人もいるだろうが、そんな方は機会がればライブを体験されることをオススメする。あるいは、この作品、DVDつきのものもあるのでそちらをぜひ。

意外なほどに激しい演奏姿には、小柄でかわいらしい顔立ちの彼女のどこにそんなパワーが潜んでいるのかと圧倒されるはずだ。僕が見たライブでは激しく動きすぎてドレスの肩ひもが切れるアクシデントに見舞われたが、演奏の手を休めることはなかった。 (ENAK編集長)

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山中千尋「ラッハ・ドッホ・マール」





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