コレ聴き隊
国内盤はなんと紙ジャケ完全再現で登場
4月に輸入米国盤が日本で世界に先駆けて発売されて、その後輸入盤に日本語解説をはさみこんだものが出て…と不思議な道筋をたどって国内盤がやっと出た。

ビートルズ来日40周年にちなんだ時期に、いささか無理矢理投入した感じはぬぐえないけれど、待たされたかいがあった。国内盤だけ完全な紙ジャケット仕様になったからだ。

米国盤も“なんとなく紙ジャケ仕様”だったけど、あちらは紙サックのようなもの。日本での発売元東芝EMIはていねいに初出時のLP体裁を再現してみせた。かつて国内では作ったことのないものを作ってしまったのだから、このあたりが日本ならではの芸の細かさだ。

ビートルズについては「コンパクト・ディスク・EP・ボックス・セット」、アルバム「ザ・ビートルズ」(通称ホワイト・アルバム)30周年記念限定盤以来の紙ジャケのはず。いずれもマニアックな商品ばかりなのが、ビートルズの不思議なところだ。

内容についてはすでに書いたが、改めて聴いてみると、自身の意向とは無関係にレコード会社がバラバラに選曲し、配置したこの作品を聴くと、1960年代中盤の“ただのロックバンド”としての彼らのラフな魅力を再発見できることに気がついた。つまりフィルムを切り刻んで意味も意図もなく編集し直して、なおおもしろい映画、のようなものだ。

デビューから解散までの間に彼らが出した基本的な13枚を聴いたうえで楽しんでいただきたい傍系の作品だという基本的な考えに変わりはないが、すでに輸入盤で購入しているファンも、紙ジャケ再現という1点のみで買い足さざるを得ない商品だとはいえる。(石井健)

今回聴いたCD
ザ・ビートルズ ’65BOX
ザ・ビートルズ ’65BOX
ザ・ビートルズ
東芝EMI
TOCP-70031
10,000円(税込み)


これまでに聴いたCD

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