コレ聴き隊
大きな優しさに包まれたピアノ独奏集
静かな作品。ジワッと効いてくる。87歳にしてなお現役のジャズピアニストによる、昨年11月に出した「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」に続く無伴奏独奏集。

取り上げた13曲は、いずれも手あかのつきまくっている定番曲。「マイ・ロマンス」「いつか王子様が」「酒とバラの日々」…。これだけそろうとなんだか“教科書”のようだが、決して教科書的な弾き方などではない。といって、余分な感傷などを盛り込んだりはしていない。

ここで聴かれる演奏は、音楽の、というよりも人生のベテランならではの、大きな視点から物事をみつめた優しさに包まれている。慈しむような温かさに満ちて、ゆったりと揺れるスイングが、聴き手を幸せな気持ちにしてくれる。

ジャズという音楽はさまざまな表情をもつけれど、この作品がもっているような、端正なゆとりを気持ちよいと思えるときこそが、ジャズを聴くことの至福かもしれない。 (石井健)

今回聴いたCD
Fine
ラウンド・ミッドナイト
ハンク・ジョーンズ
ヴィレッジ・レコード
VRCL-18830
¥2,835(税込)
これまでに聴いたCD

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