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まさに音の韓流ドラマ
とてつもない、この甘さ、切なさは、たとえるならば音の韓流ドラマだ。
実際、韓流ブームの火付け役になったドラマ「冬のソナタ」に出演していた女優、パク・ソルミが表題曲のプロモーション映像に出演。それだけではなく、この曲ではソルミがピアノ奏者として参加しているのだ。
来日中のソルミが食事をとっていた店にjajaが出演しており、その場でファンになってしまったそうだ。「私はピアノを弾けます」というソルミは、なんと新潟のスタジオで録音しているjajaとわざわざ合流し、表題曲でピアノを担当したのだ。達者な演奏で、とつとつとした音色が、とてもいい味を出している。貢献度絶大だ。
しかし、たいていの読者がjajaって何? と首をかしげるだろう。jajaは日本人の4人組ジャズバンド。いや、ジャズ、ではない。米国でいうところのスムースジャズと呼ぶのがもっとも適切だろう。あまり好きな言葉ではないが、“いやし系”の音、といっても伝わるかもしれない。
路上でのライブ活動から始めて、16年にインディーズから初アルバム「jaja」を発売。翌17年にはマレーシア、インドネシア、シンガポール、タイ、韓国、フィリピン、台湾などのレコード会社とも契約。今回の「I Love You」が満を持しての日本でのメジャーデビューになる。
秋山幸男のソプラノサックスを主旋律楽器に、甘く感傷的な旋律を切々とうたいあげる。秋山の透明なサックスの音色を聴いているとポール・ウインターを思い出す。というほどウインターの音楽を僕は知らないので、適切ではないかもしれないが。
やっぱりいちばん妥当な表現は、韓流ドラマの劇中音楽のようだ、かもしれない。ソルミがほれ込んでしまったのも無理がないというぐらいに。
秋山のサックスが適度に抑制をきかせてむせび泣く。デビッド・サンボーンのように“号泣”するのではなく、スッとひと筋涙が落ちるという感じだ。中盤にいろいろとあって、終盤は高島基博のドラムが、ためをきかせながら、ドラマが意外な方向に展開することを告げ、クライマックヘ向かって大きく盛り上がる。
1980年代のニューミュージックにも通じるものもあり、韓流ドラマにハマったという人は、jajaにもハマるのではないか。もう少し暖かくなって、夕暮れ時が切ないころに聴くのがベストマッチか。(石井健)
今回聴いたCD
I Love You
jaja
WHDエンタテインメント
IECJ10001
2,700円(税込み)
これまでに聴いたCD
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