花組 彩吹真央:タカラジェンヌ 夢の軌跡
(1)貫禄は「外見」より「中身」で表現
6月30日(金) 大阪夕刊 by 平松澄子
実力派の男役スター。宝塚大劇場で上演中の花組公演「
ファントム」で、オペラ座の前支配人キャリエールを巧演している(8月7日まで)。アメリカのミュージカルを宝塚版に大幅にリニューアルした作品で、平成16年の
宙組公演に次ぐ再演になる。
「オペラ座に怪人(ファントム)が出る謎を、自分だけが知っている、という役。1幕は出番は少ないんですが、ショーアップされていて、めちゃくちゃおもしろいですよ。2幕は感情が盛り上がってクライマックスに突っ走る。あきずに見ていただけると思います」と、自信を見せた。
じつはキャリエールは、ファントムことエリックの実の父親という設定。口ヒゲをつけてかなり年配の役作りだ。
「本公演でヒゲを付けるのは初めて。自分の顔の雰囲気から似合わないかと思ったんですが、いろいろ工夫してダンディなおじさまを目指しています。ここまで年上の、青年の父親役というのも初めてですが、春野さん(寿美礼=花組トップ)が演じられるエリックは、ホントに心が純粋で、若々しくてキラキラしている。ヘンに老け込まなくても親子に見えると思うし、外見ではなく、中身で表現したいですね」
セリフを歌で綴る作品で、2幕で歌唱力に優れた春野と彩吹が、銀橋で掛け合いで歌うシーンは最大の見どころ。
「みなさまが期待されているのが伝わってきます。私にとっては気持ち的に自然な流れで歌えるし、長い年月に背負ってきた重荷がすべて洗い流される幸せな時間。メロディーラインも美しく親しみやすいです」
また、エリックの生い立ちを語る長いシーンも、演技力の見せ所だ。
「クリスティーヌ(桜乃彩音)に語っているんですが、お客さまに語りかける気持ちでやっています。今回は、キャリエールがエリックの母親と結婚しなかったのは、宗教上2度の結婚は許されないから、という説明も加わりました。端々で前回よりわかりやすくなっていると思います」