花組 春野寿美礼:タカラジェンヌ夢の軌跡(3)
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多彩な魅力、トップで輝きを増す
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11月11日(金) 大阪夕刊 by 平松澄子 |
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歌唱力が際立った「エリザベート」のトート役 |
花組のトップスターに就任したのは、平成15年8月の福岡・博多座公演「あかねさす紫の花」から。しかし、その前の東京宝塚劇場公演「琥珀色の雨にぬれて」で、当時トップだった匠ひびきが休演したため、主役をつとめている。
「『琥珀色−』はあくまで代演。『あかねさす−』では、もうやるっきゃないって気持ちでしたね」
そして、宝塚大劇場のお披露目公演は、大人気のウィーン・ミュージカル「エリザベート」のトート役。歌で綴る作品で持ち前の歌唱力を発揮し、クールな美貌(びぼう)も加わって評判が高かった。ところが、春野自身は「ウーン、トートは重荷でしたね」という。
「今から振り返ると、よくやったなと思います。ただ、当時はガチガチで隙間がなかった。それに主役は真ん中にいるだけで、何から何まで周りがやってくださる。それもなじまなくて、自分がやっている気持になれなかった。もう少し余裕が出た時期にやれば、自分なりのトートを表現できたと思うんです」
大劇場の主演作は、「野風の笛」「レヴュー誕生」、「飛翔無限」「天使の季節」「アプローズ・タカラヅカ!」と続く。時代劇やコメディーなどで多彩な魅力を見せたが、トップの手ごたえを感じ始めたのはその次、16年8月の「La Esperanza」「TAKARAZUKA舞夢!」からだそう。
「『エリザベート』は大鳥れい(前娘役トップ)の退団公演だったし、『野風−』は轟(悠=専科)さんの特別出演や、ふづき(美世)との新コンビなどですごく緊張しました。『天使−』は(宝塚歌劇)創立90周年の幕開きで、春日野(八千代=専科)先生をはじめ、ほかの全組からゲスト出演もあった。何かイベント的なことが続いて、いつまでたっても自分らしくいられるときがないなと感じていたんです。ようやくしがらみがなくなって、自分なりに動けたのが『La−』だった」
堂々とした舞台姿の半面、いろんなことを考えて、プレッシャーを感じるタイプのようだ。
(つづく)
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