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専科 轟悠(3):タカラジェンヌ 夢の軌跡
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バトラー役3回、男役の極地を表現
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「風と共に去りぬ」のレット・バトラー役 |
男役としての最高峰といわれる、「風と共に去りぬ」のレット・バトラー役。豪快でセクシー、包容力豊かな大きさに加えて、繊細さ、やさしさなども含んだ理想の男性像が要求される。昭和52年の初演以来、繰り返し上演されている宝塚歌劇の代表作だが、轟はこのバトラー役を3度も演じて、そのたびに大きく成長してきた。
最初は一路真輝主演の「−スカーレット編」(平成5−6年)で、バトラーとアシュレ、チャールズという3役の役替わりに挑戦。2回目は雪組トップとしての全国ツアー公演(10年)、3回目は専科に移籍後、初主演した東京・日生劇場での「−総集編」(14年)である。
「3回もやらせていただいた、私の好きな役の一つです。初めてのときは、各組から真矢(みき)さん、久世(星佳)さん、麻路(さき)さんが出られて、最後が私の“4分割のバトラー”。2回目はスカーレット役が香寿(たつき)さんで、目が慣れるまで大変でした。3回目は宝塚が日生劇場で公演する最初の作品だったので、思い出も強い。総集編でショーは付きませんでしたが、宝塚の“風共”というわかりやすいスタイルになって、お客さまにも満足していただいけたと思います」
この総集編のバトラー役は男役の極地を見せる名演で、第28回菊田一夫演劇賞「菊田一夫演劇賞」と第12回日本演劇批評家大賞「ミュージカル大賞」を受賞。「もし、4回目をやることがあれば、もっと“男らしく”磨きをかけたいなと思っていますが…」と笑顔を見せた。
専科で歌劇団理事という立場になっても、毎年1回は主演舞台をつとめ、その存在感は圧倒的だ。「私が出ることは、その組にいろんな方向から指導してほしいという意味があります。また逆に、現場の生徒の立場で気付くことを歌劇団に伝えて、互いがより向上していけばいいなと思っています」
これまで5組あるうち、花組と雪組に特別出演した。組によって雰囲気や特徴の違いはあるのだろうか?
「根本は一緒ですが、空気や作品への取り組み方は微妙に違うと感じました。花組では互いに初めての立場で、最初は全く把握できなくてドキドキしてました。雪組はまだ顔見知りが多かったので、ガッと取り組んでやれましたね。ヘンに様子をするよりは、まずは役に対して自分のやりたいことをやっていく中で、知識や技術を駆使して作っていければいいかなと思うようになりました」
(つづく)
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