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鈴木康博 ENAK LONG INTERVIEW VOL.23
歌手
鈴木康博
セルフカバーアルバム「FORWARD」発売
旅の空の下で再会したい


なくした場所へ帰る
昔別れた人と再び会いたいと思うものだろうか。心の片隅で願っても実際に会おうとするものだろうか。

「旅の空の下で、だったらいいんじゃないかな」

鈴木康博が、はにかみがちにいう。アルバム「FORWARD」を出した。再会を主題にした新曲「明日の風に吹かれて」をのぞく12曲はオフコース時代の楽曲をセルフカバーした。昭和57年にオフコースを脱退して以来の封印を解いて、なぜ今、カバーしたのか。

その前に、オフコース脱退の経緯を確認しておこう。オフコースは鈴木が、小田和正(57)らと3人で結成したグループ。昭和45年にシングル「群衆の中で」でデビューし、50年代半ばからは構成人員も増え日本の軽音楽界を代表するバンドになる。鈴木が脱退した57年は、東京・日本武道館での10日間公演を実現するなどバンドは活動の頂点を迎えていた。


「オフコースに自分の居場所がなくなっていた。違う土俵で自分の音楽をやりたくなっていたんです」

鈴木康博 3人組でスタートしたオフコースは、鈴木と小田の2人だけの時期もあったが、どんどん巨大な存在になっていく。その過程でバンドは、自らのイメージを明確にするために小田の楽曲を中心にすえることを決める。

ビートルズやローリングストーンズのようになんでもやってみたい、と考えていた鈴木にすれば枠をはめられた気分だった。オフコース=小田和正というイメージ戦略にはついていけなくなった。小田の楽曲に勝るものを提示できない自分にジレンマを感じもした。このままではつぶれてしまうのではないか。「辞めたい」。55年ごろからもう口にしていた。


「55年から57年にかけて出したアルバムタイトルが「We are」「over」「I LOVE YOU」だったのは、もう僕ら(We are)はおしまい(over)。みなさんを愛しています(I LOVE YOU)という気持ちだったから」

オフコースを辞めた後、振り返るのはやめようと決意した。前だけを向いて進もう。オフコース時代の歌は封印した。

「後ろを向いていたら自分のエネルギーをロスしてしまうような気がした」

TEXT & PHOTO BY TAKESHI ISHII/石井健


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FORWARD
FORWARD
鈴木康博

TOCT-25583 ¥3,000(税込)

01.明日の風に吹かれて
02.愛のゆくえ
03.素敵なあなた
04.汐風のなかで
05.潮の香り
06.恋を抱きしめよう
07.雨よ激しく
08.君におくる歌
09.ロンド
10.青春
11.恋人よそのままで
12.いくつもの星の下で
13.一億の夜を越えて

PROFILE
昭和23年2月18日、静岡・修善寺生まれ。横浜で育つ。中学生のころからアメリカンポップスに影響されギターを持つ。東京工業大学在学中に、友人の小田和正らとオフコースを結成。

57年、オフコースを脱退。58年、アルバム「Sincerely」でソロデビュー。59年、コカコーラのCFイメージソングを制作し、フジサンケイグループ広告大賞特別音楽賞を受賞。

63年から平成9年まで軽井沢ホテルメゾンでクリスマスコンサートを、また元年〜5年まで、渋谷パルコ劇場で5〜6日間に及ぶロングコンサートを行い、毎年春・冬の定番イベントとして人気を集める。

12年、デビュー30周年を迎え、1月9日に東京国際フォーラム、11月14日に東京FMホールでコンサートを開催。4月1日ダブルネックレコーズを設立。また山本潤子、細坪基佳とユニット“Song for Memories”を結成し、全国各地でコンサートを開催。

13年、ファン投票により選曲されたリクエストベストアルバム「Reborn」を発売。(公式サイトから抜粋)
公式サイト
http://www.omgnet.co.jp/
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