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「trinta」収録曲

1.ふとした瞬間 
2.あの頃のように/大橋純子with中西圭三
3.裸の約束
4.Stray Eyes
5.ミネラル・ウーマン(特に鉄分)
6. Say Love
7.My Journey
8.parallel
9.星を探して
大橋純子 30th Anniversary Concert〜trinta〜

7月10日(土)
恵比寿ガーデンホール
東京都目黒区三田1-13-2
START 18:00
PRICE ¥7,000(tax in)全席指定
キョードー東京 TEL:03-3498-9999
チケットぴあ TEL:0570-02-9999
CNプレイガイド TEL:03-5802-9999
ローソンチケット TEL:0570-00-0403


以上、大橋純子公式サイトより
ENAK Interview 2004 VOL.11 大橋純子 (2)
──4月からのライブツアーは、どのようなものだったのですか?

■大橋: ここ4,5年は「クラブサーキット」と称し、ブルーノート大阪のようなライブハウスを回っていたんです。いつもは自分のバンドでやっていましたが、今年は記念のライブなので、いつもと違う形でと考えました。中西圭三さんのアルバム参加をはじめ良いハプニングを起こしてくれた斎藤ノブ。私にとっては、幼なじみのような、デビュー前からの友達だもんですし、いろんな意味での発起人でもありますから、ここはひとつ参加してもらおうと、ノブちゃんにメンバーを選んでもらいました。全員のスケジュールが空いていたのも、運がよかった。私は、運とつきでここまで来たんですけど、今年はレコーディングから始まり、今回のこのライブと、今年は運とかつきとかがひとまとまりになって、いろんな場面で幸いしている。最初に思った形のまま、進めているんですね。これって素晴らしいね。こんなにトントン拍子でいっちゃっていいんだろうか。走り出しは、ばっちりですね。

4月の大橋純子 meets斎藤ノブ〜club circuit 2004のバンドメンバーは、以下のとおりだった。斎藤ノブ(パーカッション)、則竹裕之(ドラム)、櫻井哲夫(ベース)、古川望(ギター)、ミッキー吉野(キーボード)
──ツアーではどんな曲を?

■大橋: 新しいアルバムからもやったり、いままでの代表曲も入れ、なおかつこういうメンバーなので、“バトル”の場面もあり、洋楽も数曲あり。普段の3倍ぐらいは楽しめたんじゃないかと思います。ブルーノートの場合、1日2ステージ。1ステージ70分なんですけど、最初から90分以上やってましたんで、休憩時間がほとんどない状態。1日3時間のライブを毎日やっておりまして、もう体力勝負。すごく、いい勉強をさせていただきましたね。

──一方、10日の「30th Anniversary Concert〜trinta」のほうは、どのような構成に?

■大橋: 30周年記念と銘打ち、こちらはいつものバンドとやります。たとはいえ、リサイタルみたいでなく、総集編ではなく、次に向けてのスタートのつもりで、ヒット曲もやりますけど、先に向かっていくためのコンサートでありたいと思っています。

──しかし、30周年だなんていうと、つい昔を振り返りたくなりませんか?

■大橋: 私の場合、ほとんどそういう気持ちはないですね。どちらかというと突進型人間ですから。牡牛座なんで一直線の突進型で、基本的に振り返るの好きじゃない。後悔するの好きじゃない。自分がよかれと思って歩いてきたんだから、あのときこうすればよかった、と思わないようにしているんです。常に前を向いて。ただ、失敗したときは、ちょっと引き返す、ということは、あります。あまりガンコにつっぱらないように。そのあたりは大人になってじょうずになりましたよ。けっこう意地っ張りだったから、そういうところありましたけどね。それは時間の無駄だなと、あるとき気付いて。歳とともに、時間がもったいなくなったからだとは思うんですけれど、だいぶうまく、無駄なくいこうとするようになりましたね。

──30年とひとくちでいっても、大変なんでしょうね。もちろん、60年代にデビューして40周年というバンドもありますが。

■大橋: そうですね。いわゆるポップスの世界って先輩がいるようでいないんです。せいぜい、フォークの方々がいるぐらい。ずっと歌手として歩いている、歌一本の先輩という意味では。ひょっとしたら後輩のほうが多い。私が先頭を走っているとは思いませんけど、できるだけいい形で、せっかく、こういう音楽が根付いていますから、できるだけ長く現役を続けるのが私の使命かなと思ったりします。10年、20年という周年でいうと、30周年が私の中でちょっとだけ違うのは、30年はそれなりの重みがあるということですね。ちょっとだけ、自信が出ました。30年やってこられて、今も同じように立っていられるとすると、ここからの10年を目指せるかのではないかという気がします。ここからは1年1年を積み重ねるだけでも歌手として残っていけるような気が、いま、やっと、しています。

──デビュー前、ご自分が30年も続けているなんて想像しましたか?

■大橋: いやあ、まったく考えなかったですね。若いときって、生意気なことをいっていましてねえ。私なんか、小さいのに声がよく出るとかよくいわれ、それが自分の売りだと思っていたんで、そこにかげりがみえたときは、他人から指摘される前に自分で引こうって。40、50歳でまさか「シンプル・ラブ」をうたうなんてことは、考えていなかったと思います。

──実際、のどの調子は?

■大橋: いや、それがいまのところ、キーも変わっていませんし。以前、耳鼻科にいったら「40代に入ったら女性はキーが下がるんだけど」といわれ、「まだなんですけど」といったら、「ありゃ、それは立派だね」なんていわれて。それから何年もたちますけど、まだ大丈夫。でも、いつ下がっても驚かないように覚悟はしているんですけどね。

──キーを下げたからって表現の力が変わるものではないと思いますが

■大橋: 曲によっては“コード感”(和音の響き)が変わりますよね。重さ、軽さという点で。「前に聞いたときとちょっと違うわね」って。私なんか30代以後は声質が太くなり、下は安定していて、歌っていて楽になりましたけど、キーが変わらない分、聴いていてそんなに変わった感じはしないと思います。体が丈夫なのかもしれませんね。

──実際に、体調のほうは?

■大橋: 40代でいちど、3週間入院したことがありました。それぐらいですかね。今は、アクアエクササイズもやっています。プールの中で45分間運動するんですよ。けっこうハードですよ。でも、有酸素運動とかいって血流をよくしたり中性脂肪を燃焼したりとか、いいみたいなんで、最初にスポーツクラブの会員になったのは、16年前なんですよ。そのときは、すごくヒマで、することないから、家にいても仕方ないし、そうだ、北海道生まれなんで泳げないから、とりあえず泳ぎでも覚えますかと、いう気持ちで始めたんですよ。年齢とともに体力が落ちてきていると自覚したのが去年。これは運動を続けていないとまずいなと。それで、本腰を入れてやろうと思ったのは去年ぐらいから。

──ヒマだった?

■大橋: 私は仕事を途中で休んで、ニューヨークに移り住んだことがあるんです。で、帰ってきたころのことです。昭和61年ですから、ときあたかもバンドブーム。ソロ歌手はお呼びじゃない。私みたいな“出戻り”で、とうのたった女性歌手は、およびじゃなかった。私は怠け者なんですけど、貧乏性なので、ただ、遊んで暮らしてはいられない。いつお呼びがかかっても戻れるように準備だけはしておこう。その第一歩として、体を動かそう。そういうことだったのかな。でかける用事を作らないと家にこもっちゃう。それもよくないな。本格的に復帰できるまでに10年ぐらいかかりました。やっと戻れたときに歌をうたえる幸せをかみしめましたね。4年、渡米で休み、復帰するまでにさらに数年かかり、遠回りしたといわれることもありますが、あれがあったから、今、歌うのが好きだと思って歌える。

──なるほど

■大橋: 今もいいペースで歌う場があるのは幸運だと思います。ひとまわり下の世代が今、苦労していると思う。40代。私自身も40代は辛かった。時代は違っても、やっぱり40代って大変なんだ。ピークを過ごしたらいやでも落ちて、そこからもう1回っていう山を作る。どれだけのひとが山をふたつもみっつも作れるか。考えると、難しいと。次に何をやるべきか、を考えて、答えをいち早く出した人は苦しまずに次に進める。でも、私もそうだけど、後から気が付くんです。地道な努力をやっていくしかないんですよ。30年ってそれなりの年月。ひとことでいえば、山あり、谷あり、谷あり、谷あり、谷あり…の人生かな。でも、私はいやじゃなかった。幸運にも、ここまできたなと思いつつ、もう一踏ん張りできている自分はなんて幸運なのかと感謝しますね。

──31年目以降の大橋純子は?

■大橋: いや、もう、いまのまま。淡々と歩いて気が付いたら、あら、もう40年目だわ、とか、いってたらいいな。現役でマイペースで、気が付いたら、何十年ってのがいいかな。で、気が付いたら死んでたってのがいいかなあ、なんて思ったりもして。できるだけ、特別なにをどうとか思わないで、小さな目標を目の前にちょっとずつおいて、それに向かって日々、歩いていけたらいいのかなと思いますね。




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