宙組 蘭寿とむ(1):タカラジェンヌ 夢の軌跡
思い万感、組み替え後初の大劇場公演
11月24日(金)
大阪夕刊 by 平松澄子
花組から宙組へ組替えになって、初めての宝塚大劇場公演に出演中(12月12日まで)。
幕末青春グラフィティー「維新回天・竜馬伝!」では、徳川幕府最後の15代将軍、慶喜を演じている。
「日本物はわりと経験しているし、チョンマゲの鬘(かつら)も違和感はないんですが、これほど高貴な役は初めて。最初は動き過ぎを注意されました。ただの殿様ではなく、この人が政権をとったら危ういぞというキレ者のムードも出さなければいけない。存在感だけで見せる役の難しさを痛感しています」
ショパンの名曲を中心に構成するレヴュー「ザ・クラシック」では、幕開けに宮廷のバトラー(執事)役でオーケストラボックスから登場。
「そういう始まりって、ありそうでないのでおもしろい。そのあと5人で銀橋で歌うのもうれしいですね」。ほかに「別れの曲」をバックに、恋を操る“運命”の役で踊る幻想的なシーン、フィナーレの大階段で赤い軍服姿の男役がそろって踊る群舞のシーンなどが好きだという。
この公演では、貴城けい、紫城るいの宙組新トップ・コンビがそろって、大劇場のお披露目と同時に退団する。ふたりの退団が発表されたのは稽古(けいこ)が始まったころだったとか。
「“えっ!?”という感じでしたね。宙組は私を含めて組替えで来た人が多いし、この公演でやっとみんながひとつになって、新生宙組として前向きの、いい雰囲気だったんですよ。これからいろんなものが生まれてくる感じだったので、とても残念です。でもおふたりが今できる最高の舞台を作ろうという意気込みでやっていらっしゃる。みんなもその気持ちを受け入れて必死に舞台をつとめています。おふたりの今の姿をしっかり見ておきたいですね」
宙組の次期トップには2番手スターの
大和悠河が昇格することが決まった。蘭寿のポジションもひとつアップすることになる。「私にとっては宙組での新たなスタートの公演です。新鮮な気持ちでがんばります」と力強く言った。
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