宙組 蘭寿とむ(3):タカラジェンヌ 夢の軌跡
変化に富んだ役柄を次々体験
12月8日(金)
大阪夕刊 by 平松澄子
「エリザベート」新人公演(平成14年)の主役トートを演じるにあたり、「歌で綴(つづ)る作品なので、歌のプレッシャーがすごくあった」という。「難しくて、難しくて。1曲ずつていねいにやるしかないと覚悟を決めました。宝塚大劇場のときはメークも含めて課題が多く残ったんですが、東京公演が終わって初めて、がんばればなんとかなるかなって兆しが見えた気がしたんです」と、手応えをつかんで新公を卒業した。
この年は4月に東京・日生劇場公演「風と共に去りぬ」に南部の青年役で出演。8月には宝塚バウホールの「月の燈影」で彩吹真央と共に初主演も果たした。翌15年はバウ・ワークショップ「恋天狗」の弥太役で主演。5月の大劇場「野風の笛」ではくぐつの不知火役だった。「主演の轟さん(悠=専科)を守って、最後は轟さんの腕の中で死ぬ役。『風−』のときに轟さんのバトラーがカッコよくて、放つ気がすごかった。再びご一緒できて幸せな舞台でした」
宝塚歌劇90周年の16年は大劇場のコメディー「天使の季節」で始まり、全国ツアー公演「ジャワの踊り子」ではニヒルな刑事ハジ・タムロン、大劇場の「La Esperanza」ではさわやかなディレクターのトムと、変化に富んだ役をこなした。そして17年にバウの「くらわんか」で本格的に主演するのだが、上方落語を題材にした破天荒な主人公、八五郎はそれまでの男役のイメージをことごとくくつがえす役だった。
「出ずっぱりでセリフも膨大。体力の勝負でしたね。八五郎はダメ男なのに愛されるキャラクターで、二枚目をすべて崩してかからないといけない。谷先生(正純=演出家)からは“ばかになれ!”と真剣に怒られました。この役のおかげで恥ずかしいものはなくなりましたね」
3月の大劇場「マラケシュ・紅の墓標」では一転して、偏執狂的で無口なギュンター役、7月には初めての外部出演「服部有吉R−HATTER」で男性との共演も経験した。「改めて男役としての魅力を考える勉強になりました」
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