若い人たちはモノラルという言葉を知っているだろうか? レコードがステレオになる以前は、左右のスピーカーから同一の音が出ていた。竹仲絵里のメジャーデビューミニアルバムはその名も「秋晴れモノラル」(コロムビア ミュージック エンターテインメント/COCP-32875/¥2.000)。といって、モノラル録音の作品というわけでは、ない。今やステレオどころから5・1チャンネル、6・1チャンネルの時代だが、情報過多の現代に生きる人たちは情報に惑わされて自分らしさを見失っていないかと、この女性シンガーソングライターは問いかけているのだ。じっくりと、秋の午後に耳輪休めるつもりで聴いてもらえたら。そう願ってつけた題名だ。なるほど、穏やかな日差しの中で、落葉が地面に着地したときに発する音、のような歌が聞こえてくる。ENAK編集部は、竹仲に会いに出かけた。
text & photo by Takeshi Ishii/石井健
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