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収録曲

1.コールド・ダック
2.ザ・ニアネス・オブ・ユー
3.アイム・ビギニング・トウ・シー・ザ・ライト
4.マイ・フーリッシュ・ハート
5.ミッドナイト・サン
6. アクセンチュエイト・ザ・ポジティヴ
7.ベティ・ビバップズ・ソングス
8.ワルツ・フォー・デビー
9.グルーヴィン・ハイ
10.ロータス
11.スコッチャ・ブーティ


以上、ユニバーサルミュージック公式サイトより
コンテンポラリージャズのスーパーボーカリスト。なんじゃそりゃ、である。ENAKはふつうそんなおおげさな形容は使わない。が、アル・ジャロウ(64)については、そのぐらいの冠をつけたって、いいだろう。ジャズのフィールドを足場に、幅広い歌をうたい続けて40年近くになる。実際、「ジャズ」「ポップ」「R&B」の3つの部門で米グラミー賞を獲得してもいる。いや、それよりも、元気で陽気で、インタビュー中も突然、うたい出して、それも延々とうたい続けて、もうそのエネルギーだけでスーパーボーカリストだといいたい。そんな彼が、意外や初めて作ったスタンダードナンバー中心のアルバムが「ワルツ・フォー・デビー/アル・ジャロウ・シングス・スタンダーズ」(ユニバーサルミュージック/UCCR-1042/¥2,548)だ。

text & photo by Takeshi Ishii/石井健
──ご本人から説明していただくとしたら、どのような作品だということになります?

■ジャロウ:ひとことでいえば、実に新鮮なCDだ! きっと新しいアル・ジャロウを聴いていただけるはずだ。今になって新しい“目覚め”を迎えられるなんて、うれしいよ。だからね、過去四半世紀に出た歌もの作品の中では、最高のものになっているはずさ、なんてね! 

──やはり今回の特徴は、スタンダードナンバーが多い、ということでしょうか?

■ジャロウ:もちろん、過去の作品でも、数曲はスタンダードナンバーといわれる、いわゆる古典的な歌を録音したことはあったのだが、スタンダード中心に構成したのはこれが初めてだね。大昔に「いつかカルテット(四重奏団)ぐらいの小編成を従えて、ストレートなジャズ作品を作ろう」って心に決めていたんだ。この作品がその第1章というわけだ。だから、今後もこういう作品を作るかもしれないよ。ただ、一方で、R&B、あるいはエルトン・ジョンの「ユア・ソング」のようなポップスもうたい続けたい。だから5、6曲のスタンダードナンバーにR&B、ポップスの名曲をとりまぜたような作品を作りたいね。
1940年3月12日、米ミルウォーキー生まれ。60年代にジャズ歌手としてキャリアをスタートさせたが、70年代になると、いわゆるストレートな形態のジャズを歌う歌手に、仕事はほとんど回ってこなかった。「ジャズにこだわる必要ってあるのかな」。クルセイダースのピアノ奏者、ジョー・サンプルの言葉にひらめいたジャロウは、持ち合わせていたポップスのセンスとジャズの要素とを加味した独自の形式を確立する。
77年、アルバム「ルック・トゥ・ザ・レインボー」で、翌78年はアルバム「オール・フライ・ホーム」で2年続けてグラミー賞の最優秀ジャズボーカル賞を獲得。さらに81年、アルバム「ブレーキン・アウェー」で同賞を三度獲得すると同時にシングル「ブルー・ロンド・ア・ラ・ターク」で最優秀ポップボーカル賞も受け、押しも押されもせぬトップボーカリストになった。
さらに92年にはアルバム「ヘブン・アンド・アース」で、こんどはR&Bボーカル賞をとってしまう。99年、ジャロウはジャズの名門レーベル「ヴァーヴ」に移籍して最初に発表した「トゥモロウ・トゥデイ」は、米ビルボード誌コンテンポラリー・ジャズ・チャートで11週連続首位を守るなど、ともかく現状に満足して歩みをとめることなく、前進を続けるジャロウなのだ。
──今回取り上げたようなスタンダードナンバーは、ステージなどではよくうたってらっしゃるのですか?

■ジャロウ:うたうこと自体は初めてじゃない。たとえば「コールド・ダック」は、20年前からうたっている。「マイ・フーリッシュ・ハート」は、そうだな…1958年ぐらいからうたっているはずだ。だけど、コンサートでうたっているかといわれると、ノーだ。これまでコンサートでスタンダードナンバーをきちんとうたったことは、ないんだ。だから、ちゃんとした形で聴いてもらうのは、ステージも含めてこれが初めてということになるんじゃないかな。まあ、これからは、コンサートでもスタンダードをうたうことになりそうだけどね。

──さて、レコーディングですが、ほぼライブに近い形で行われ、それをそのまま収録しているそうですね?

■ジャロウ:だいたい、ね。とはいえ、やはり楽器同士の音がかぶさらないようにスタジオ内にパーティーションを区切るなどはしたよ。まあ、せーの、で、一緒に演奏したことに変わりはないわけだがね。一応、聴き直して気に入らない箇所があった場合に備えて録音し直せるようにはしておいた。コンピューターを使って、その箇所が指定できるようにね。これは、通常のレコーディングでは必ず用いられる方法だよ。僕は割と多いんだよ、録音し直すことが。よりよいうたい方を後から気がつくことが多いんだ。でも、今回はほとんど 録音のやり直しはなかった。演奏についていえば、すべて最初に録音したものを採用した。歌に関しても、微調整でうたい直した程度だったね。
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