1997年アメリカのフォックス映画。ただし、スタッフ一同イギリス総掛かり。この映画、アメリカでもイギリスでも今年の興行記録をとった。
このところ、香水の広告にまで登場するように、すでに男のヌードはニューファッション。
これにいち早く目をつけたのが、日本の『シコふんじゃった』(平成3年)だった。男の裸が、片足を思い切って高く上げて踏ん張るのが見どころだった。
今や男女のセックスシーンで客を呼ぶのは時代遅れというわけて、世界一の“カタブツ精神”のイギリスが、男6人のストリップ映画に乗り出した。
今時は、ニュースなどでも見ることがある男のストリップ。イギリス人はその見せ方に芸術をあふれさせた。
男6人失業。ピーター・カッタネオ監督(33)は、まず北イギリスの炭坑町の失業6人男(ロバート・カーライル、トム・ウィルキンソン、マーク・アディ、リスリー・シャープ、ポール・バーバー、スティーブ・ヒューイソン)をマジに見せる。爆笑したい客の口を押さえたその映画入り口は失敗だが、男6人がスッポンポンにならざるを得ない悲しさがにじむ中盤から爆笑の爆弾の導火線に火がつく。
さて、その6人のストリップに、キャズ(カーライル)の9歳の息子(ウィリアム・スネープ)が父を理解する。この子が舞台のミュージックテープ係になるあたりから、爆笑に明るさがあふれる。
カーライルはイギリスの第一級俳優。かかる連中がストリップをするまでの勇気を手始めに、パンツいっちょうになってお互いの体を見比べるところが、実は本物の見どころ。
場内超満員の女性のきょう声の前で、オヤジ六タイプの見える見えるのおしりのかわいさを、まず、ごろうじろ。
なお、「フル・モンティ」とはすっぽんぽんの意味。
(映画評論家)