淀川長治の銀幕旅行
「フレンチ・キス」メグに見とれケビンに惚れる
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アメリカ製のフランスのマロンシャンテリィ。甘くスウィートでパリの香り。

監督が、脚本家上がりで脚本も見事で監督としても「白いドレスの女」で名を高めたアメリカのマイアミ生まれのローレンス・カスダン(四十六歳)、この監督いまや働き盛り。

主演は4名。結婚相手の青年(ティモシー・ハットン)にパリで女が出来てしまった。この若い医者を追って若い女先生(メグ・ライアン)、カンカンに怒り飛行機嫌いを我慢してパリへ。ところが隣席の男(ケビン・クライン)が彼女が眠っている間に宝石を彼女のバッグに。この宝石泥棒を追っている刑事(ジャン・レノ)が、実はこの宝石泥棒に命を助けてもらったことのあったことを知り、宝石を取り戻し彼を見逃す。結婚相手に怒った娘もこの青年を、さてどう取り戻すか。

1時間51分、あの「恋人たちの予感」のメグ・ライアンのかわいさで見とれきる。実に彼女を見事に使ったコメディーと思っていると、4人のこの映画のプロデューサーの一人が彼女でありました。しかしそんなことはどうだっていい。なんともかわいい。まさにアメリカ製のマロン菓子だ。

この4人、一番ばかな役が「普通の人々」のティモシー。けれどまだ若さでいい男ぶりを見せる。見どころは口から出まかせうそでかためて楽しむ宝石泥棒のケビン。これが見事にオトコの魅力を見せた。これに「レオン」のフランス人ジャンが加わり、男よりどり3人、女はメグの100パーセント魅力映画というわけで、この脚本出来過ぎてばかみたいだが、主演者がそろってうまいし、監督が「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」の監督。だからこの手のコメディーには自信たっぷり。

それよりも今年48歳のケビン・クラインのおいろけこそが実は最高。この俳優、15年前ブロードウェイの第一級劇場で主役した「ベンザンスの海賊」、これを私は見ている。エロール・フリンそっくり。劇場はこの彼で毎夜超満員。だから今度のこの映画、メグとケビンのごちそうにもうひとつおまけのジャン・レノで「これで、どう」てな映画。  (映画評論家)



淀川長治

フレンチ・キス

製作総指揮
チャールズ・オークン

製作
ティム・ビバン
エリック・フェルナー
メグ・ライアン
キャサリン・F・ギャラン

監督
ローレンス・カスダン

脚本
アダム・ブルックス

音楽
ジェームス・ニュートン・ハワード

出演
メグ・ライアン
ケビン・クライン
ジャン・レノ
ティモシー・ハットン

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