「フォー・ルームス」4話で監督、俳優、脚本の競演 !!
この記事は産経新聞95年11月28日の夕刊に掲載されました。
ホテルのボーイ(ティム・ロス)四部屋に呼び出される。
第一話(脚本・監督、女性のアリソン・アンダース)数名の魔女が男とのアレを語る。マドンナ出演。あなた口でやっちゃダメよ、手でこするのよ。きわどい言葉があふれるオトコバナシ。
第二話(脚本・監督、アレクサンドル・ロックウェル)夫婦その妻、手足しばられ口にテープ。そこへボーイ呼ばれるや女の亭主、怒り狂って、お前と俺の妻がやりやがったのか。ボーイあきれる。これぞケンタイ期夫婦の回春薬のボーイ使ってのウソシバイ。
第三話(編集・脚本・監督、ロバート・ロドリゲス)夫婦が子供を置いてパーティーへ。9歳の姉、6歳の弟。足が臭いと姉にしかられ、弟は自分の足をなめる。しかし臭いのはベッドの下だった。びっくりのモノがあったのだ。
第四話(脚本・監督、クエンティン・タランティーノ)ハリウッドの連中がこのホテルに。ここでタランティーノ、このシーンのスタートから大声でしゃべりまくった。ついに待ってました私の出番という感じ。彼は喜劇俳優。この第四話、さらにハリウッドの映画マネジャーにブルース・ウィリス。がらの悪い彼ら仲間が賭けを始めた。勝てば車一台、負ければ小指一本ナタでバッサリ。そこへ呼ばれたボーイも小指ねらわれ汗の出るスリル、サスペンス。
この映画の封切り日本が世界一、このあとアメリカ封切り。四話をつなぐホテルのボーイのティム・ロス。見ていると映画と舞台の人気コメディアン、あのエディ・カンター・スタイル。この俳優、イギリス人。アルトマン監督の「ゴッホ」の主役。かくてタランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」にも出演。
さてこの映画、今年32歳のアメリカ人タランティーノのこの元気この才能、正月のあのニコニコ大会の陽気さを思わせて、もちろんこの映画の総指揮はタランティーノ。これぞ「運命の饗宴」その名を思わす「監督・スタアの競演」でありました。
(映画評論家)