「ホーム・アローン2」ニューヨーク編、大成功
この記事は産経新聞93年01月05日の朝刊に掲載されました。
前作に続く2作目だが、前作に負けない。子供ひとり残して家じゅうが出かける喜劇はサイレント時代にもしばしばあったが、すべては家の中での泥棒対子供。この第一作は、子供を外に出した。それより感心は、家じゅう騒がしく出かけたとき、子供のであろうか、ペットの毒蜘蛛のガラス箱がひっくりかえり、私たちの目前にその蜘蛛を走らせた。てっきりこれが泥棒の首すじに飛び付くかと思いきや、蜘蛛はそれっきり出ない。その見る者への脅かし方に感心した。
ところで今度はニューヨーク。名所のブロードウェイの劇場筋も出さない。ティファニーも出さない。子供主役というわけで、五番街に行くと子供と親が必ず行くセントラル公園に近い偉大なる名所的オモチャ屋、それからクリスマス電光大ツリー、さらにセントラル公園の鳩に豆をやる名物婆さん、という具合にラジオ・シティ・ミュージック・ホールさえもチラと見せ、コニーアイランドは遠くてこの主人公は行くこともなく、ここニューヨークの子供のお馴染みの真っ只中で、ますます演技づいてきたマコーレー・カルキン(12)をオーバー・アクトぎりぎり一歩手前までのところで見事使ってアッパレ二十世紀フォックス第二のシャーリー・テンプルへの構えを見せた。
と同時に今回はヤボテンの泥棒2人組(ジョー・ペシとダニエル・スターン)が巧い演技の珍優ぶりを見せ、特にダニエルはこれでスタアになるかの熱演。監督のクリス・コロンバス(33)はスピルバーグにみがかれ、24歳にして『グレムリン』の脚本を書いた青年商売人。お客を楽しませるコツはスピルバーグ以上か。
公園の鳩と五番街のオモチャ屋。そして鳩婆さん(ブレンダ・フリッカー)と、これまた名物の高級ホテルのプラザの給仕係り(ティム・カーリー)がいい芝居を見せましたぞ。 (映画評論家)