「男役で5年、娘役に転向して5年。ちょうど入団10年目の節目に主演娘役の大役をいただいて、幸せなときに卒業しようと思いました」
来年2月12日で退団する宝塚歌劇宙組娘役トップ、紫城るいが26日午前、宝塚市の宝塚歌劇団事務所で退団の会見を行った。(
会見グラフはこちらです)
宙組トップスター、貴城けいと同時退団になり、最後の作品は宝塚大劇場で11月3日初日の
「維新回天・竜馬伝!」「ザ・クラシック」。2人そろってトップ披露とサヨナラを兼ねる1回だけの公演で、この東京宝塚劇場公演(来年1月2日〜2月12日)の千秋楽で退団する。
オフホワイトのスカートとニットのアンサンブルというフェミニンな装いで会見場に現れた紫城。「最後のその日まで精いっぱい、明るく舞台をつとめたいと思います」とあいさつした。退団を決意したのは昨年末、宙組トップスターとなる貴城の相手役ヘの昇格が発表されたときだという。
「入団当初から10年を目標にしてきました。その時期に主演娘役のお話をいただいて。貴城さんが退団されることをそのときは知らなかったんですが、できれば一緒に卒業させていただきたいと思っていたので、そうなって幸せです」
その貴城からは「短い期間だけれど、これからの時間を大切に過ごそうね」と言われたそうで、「いままで以上に気持ちを引き締めて、思い出に残る作品になるようにがんばります」と話した。
愛知県出身。平成9年「仮面のロマネスク」で初舞台。翌年、月組に配属される。当初は男役だったが、甘くソフトな持ち味からショーでは娘役の起用も多く、その美しさが評判になるほど。
14年1月に「
ガイズ&ドールズ」新人公演で踊り子アデレイドを演じたのを機に、娘役に転向。早くも同年6月の宝塚バウホール公演「SLAPSTICK」のメイベル役で初ヒロインに抜擢され、同年9月には「長い春の果てに」新人公演でもエヴァ役で初ヒロインをつとめた。
16年11月にはバウホール公演「THE LAST PARTY」のゼルダ役でヒロインを演じたあと、17年5月に宙組へ組替え。宙組の初代娘役だった花總まりが今年7月に退団したあと、2代目の娘役トップに昇格し、8月の福岡・博多座公演「コパカバーナ」で貴城とともにトップ・デビューしたばかりだった。
娘役に転向したことについては、「もう男役の記憶は昔のことになりましたが、まだ下級生だったのでガムシャラでしたね。娘役になってからは役も大きくなってきましたが、なりきれない部分があったかもしれません。ただ、私は舞台が好きなので、どちらに比重を置くこともなく、舞台を楽しんできました」。
思い出に残る作品を聞くと「全部なんですが、やはり『コパカバーナ』のローラとサマンサ、それに『THE LAST PARTY』のゼルダが大好きな役です」と答えた。
退団後については、「これまで宝塚のことだけを考えてきましたし、いまは卒業公演のことでいっぱい。宝塚を卒業してからゆっくりと考えたい」というにとどまった。
最後に同席した小林公一・宝塚歌劇団理事長に、「トップの理想の任期は?」という質問があったが、「任期は決まっているものではない。そのときどきの状況によるとしかいえません」との返答だった。
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