阪急ホールディングス(HD)と阪神電気鉄道が10月1日に統合して誕生する「阪急阪神HD」の経営形態が25日、ほぼ固まった。グループの経営戦略を協議するため、「グループ経営会議」を設置し、メンバーは阪急側8人、阪神側6人で構成。グループ会社の連携を強め、統合効果を最大限に発揮するため、鉄道・バスやホテル、不動産などの事業ごとに戦略を話し合う「コア(中核)事業戦略会議」も設置する。阪急HDと阪神は「対等の精神による統合」を強調して協議を進めてきたが、阪急主導色が強いものになりそうだ。29日の両社の取締役会で決める。
新生阪急阪神グループは持ち株会社の阪急阪神HDの傘下に阪急電鉄、阪神電鉄、阪急交通社、阪急ホテルマネジメントのコア事業4社が並び、この4社の下に各関連事業会社を配置する。
グループ経営会議は、経営計画やグループ経営に影響する重要案件を協議する場で、事業会社に権限を委ねている案件でも多額の投資が必要なものや、グループ経営の観点からリスク管理が必要なものは、会議で協議する。メンバーはコア事業の代表者らで構成し、阪急から8人、阪神側から6人が参加する方向で調整している。
阪急阪神HDの取締役会メンバーも、阪急側12人(うち社外取締役4人)に対し阪神側6人と、阪急側が過半数を占める。ただ、代表権を持つのは、社長に就任する角和夫・阪急HD社長と坂井信也・阪神電鉄社長、川島常紀・阪急HD代表取締役の3人とすることで阪神側に配慮する。
コア事業戦略会議は、旅行やエンターテインメント事業でも設け、事業ごとの中期計画や大規模事業の内容などを協議・調整することにしており、役員と関係部長が必要に応じて参加する。
来年3月には、統合後初めてとなる中期経営計画を策定する。
百貨店事業は、阪急百貨店が阪急HDとの資本関係が薄いため協議を先送りしていたが、22日に阪急百と阪神百貨店が業務提携で合意した。
両グループの経営統合は阪急HDが約47%まで村上ファンドに買い進められた阪神株の公開買い付け(TOB)を成立させたことで決定。来月1日に阪急HDが阪神を株式交換で完全子会社化したうえ、会社名を阪急阪神HDに変更する。
新グループの骨格については、経営統合委員会の下に設けた分科会を中心に検討してきた。
駅、車内で広告連係プレー
阪急ホールディングス(HD)と阪神電気鉄道の経営統合を目前に控えた25日、阪急梅田駅の円柱広告にプロ野球・阪神タイガースの「公式ファンクラブ会員募集広告」が登場。目に見える統合効果の第一弾として通勤・通学客らにアピールしている。
全国ブランドの阪神タイガースと宝塚歌劇団を広告面で相互に乗り入れ、近接エリアにある両電鉄沿線でファン開拓につなげるのが目的。
球団ファンクラブ募集の広告は、阪急側では阪急梅田駅に29日から駅はりポスターを掲示、10月1日からはターミナルビジョン「ビッグマン」でスポットVTRを流すほか、今月30日には車内つりポスターもお目見えする。
一方、阪神梅田駅では今月28日から駅はりポスターなどで宝塚歌劇団・宙組の公演告知が登場、10月1日からはターミナルビジョンでも宙組公演の宣伝VTRも流される。阪急HDと阪神電鉄は「それぞれの沿線住民らがタイガースと歌劇団を見に行くきっかけになれば」と期待している。