宝塚雪組「堕天使の涙」「タランテラ!」宝塚大劇場公演が30日、千秋楽を迎え、12月24日付で退団するトップスターの
朝海ひかる、娘役トップの
舞風りらが、思い出深い宝塚に別れを告げた。
朝海と舞風は平成15年から4年間、トップコンビとして活躍した。前日とこの日の公演後に行われたサヨナラショーは、白エンビ姿の朝海が歌う「我が名はオスカル」で始まり、大階段をスクリーンにしてオスカルの映像などが流れる新趣向。軽やかなダンスが魅力のトップ・コンビにふさわしく、「レ・コラージュ」「ワンダーランド」「Joyful!」といったこれまでのショーの中で踊った代表的なデュエット・ダンスを再現するコーナーもあった。
「睡れる月」「銀の狼」「スサノオ」と主演作品から抜粋した歌やダンスを次々に披露したあと、ラストは朝海が「Romance de Paris」の主人公ヴァンサンに扮して歌う「風のように」。思い入れの深い作品だそうで、♪すべて終わる時に そっと振り返れば 風のように 時にあたたかく 時にしなやかに 吹き抜けてゆく…という歌詞が、今の自分の気持ちに一番近いこともあって選んだという。
また今回は初めて、飛鳥裕組長が退団者をひとり一人紹介する時に、緞帳に入団当初から卒業までの顔写真が6枚ピックアップして映し出され、最後にサインで締めくくる演出が登場。ファンにも大好評だった。
舞風は大劇場の大階段を最後から2番目に降りた。黒紋付きに緑の袴姿で「今、本当に充実して幸せな気持ちでいっぱいです。たくさんの愛があったから今の私があった。すべての方々に心からありがとうございました」と、にこやかにあいさつした。
最後に大階段を降りた朝海も、黒紋付きに緑の袴の正装。「宝塚の一生徒として緑の袴を選びました」という。花束を持って舞台に現れた同期生は花組トップの春野寿美礼と同じ花組娘役の鈴懸三由岐。朝海は「無事に宝塚大劇場を卒業致します。みなさまの愛を感じて、これからも私らしく前進して参ります」と語り、6回のアンコールに応えた。
朝海はその後に行われた会見で、「雪組に来られたからこそ、ここまでお芝居も歌もダンスも好きになった。組替えになってよかったと思える自分がうれしい。愛が染みこんでいる大劇場の大階段は、一段一段を踏みしめながら降りました」と改めて感想を述べた。
退団後については「東京公演の千秋楽まで日々、精進してまいります。その後のことは12月25日になってから考えようかと思っています」と答えるにとどまった。
サヨナラパレードは約6000人のファンが見守る中、舞風が銀色の車で去ったあ
と、通路に電飾が灯り、朝海が大きな胡蝶蘭の花束を抱えて登場。「ありがとうございました」と手を振りながら、銀色のプジョーのオープンカーに乗って大劇場を後にした。
なお、同公演でのほかの退団者は、雪組の紫いつみ、夢華あやり、彩みづ希、花緒このみ、愛耀子、悠なお輝、有沙美帆と、専科の高ひづる。
※サヨナラ写真グラフはこちらです
(10月31日20:07 写真を追加しました)