宝塚歌劇団星組「ミュージカル『愛するには短すぎる』」(原案・小林公平、脚本演出・正塚晴彦)「ロマンチック・レビュー『ネオ・ダンディズム!−男の美学−」(作演出・岡田敬二)東京公演が6日午後、東京・日比谷の東京宝塚劇場で始まった。11月12日まで。(
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トップスター、湖月わたるの退団公演。また、娘役トップの白羽ゆりもこの公演で星組を去り、雪組に異動する。
「愛するには短すぎる」は、ロンドンからニューヨークへ向かう豪華客船を舞台にした4日間の物語。大財閥の養子フレッド(湖月)は、船上で幼なじみのバーバラ(白羽)と再会するが、フレッドには許嫁がいる。心が揺れる…。
2人のせつない恋模様を軸に、フレッドの親友アンソニー(安蘭けい)、執事のジェラルド(未沙のえる=専科)、貴族の夫婦、バレエ団のメンバー、プロデューサーや女優らがからみ、さまざまな人間模様が、凝縮して描かれる。 一方、宝石盗難事件の解決というサブストーリーも展開。
出会い、別れ、忘れられない思い、旅立ち…。これが最後になるトップコンビにふさわしい、ロマンと哀愁に満ち、かつ明るくさわかやかな要素も詰まっていて、ファンにはたまらない一作だろう。
「ネオ・ダンディズム!−男の美学−」は、ロマンチック・レビューシリーズの17作目。オープニングのチャイナスタイルから、ガウチョ姿、極めつきのエンビ服など、男役のかっこいいコスチュームプレーが次から次へと楽しめる。
この日は公演に先立ち午前、通し舞台稽古が行われ、その後劇場で湖月が会見し、「これで卒業だ、とは初日を迎えて初めて実感するのかもしれません。(「愛するには短すぎる」の)役(フレッド・オーバスク)の心境が今の自分と似ているので自然に役に入り込み、生き抜ける感じです」と、最後の公演への意気込みなどを語った。
■会見は以下のとおり
湖月わたる 雨の中、お越しくださってありがとうございます。卒業公演が始まります。千秋楽まで1日、1日を大切にしていきたいと思います。
−−芝居もショーも退団を意識した“サヨナラ仕様”だと感じているが、さみしさをこらえる場面などは?
湖月 日々、充実していて、卒業する実感がないんですけど、いよいよ幕を開けてしまうと初めて実感するのかもしれません。役(「愛するには短すぎる」のフレッド・オーバスク役)と心境が似ているので、自然に入り込み、サヨナラということにかかわらず生き抜ける感じです。ショーでは「惜別」の場面で白羽ゆり、安蘭けいが、仲間との思い出を語りだすと「あ、サヨナラ公演かもしれない」とグっとくるんです。東京公演から黒燕尾(えんび)の場面が加わりまして、大階段のてっぺんに立つ男役を夢見てきた私が、こういう場面をさせていただけて卒業できることは幸せなんだと改めて感じています。
−−湖月さんにとってのダンディズムとは?
湖月 私にとっては男役の美学。男役としての精神−−ですかね。お客さまの理想となる男性像になるべく、服装や立ち方を自信もってこなせる精神です。先輩を見たり、映画やさまざまな役者の方をみたり。そして鏡とにらめっこして理想に近づいていくのです。
−−改めて今回の公演の見どころは?
湖月 お芝居のほうは“正塚先生(脚本・演出の正塚晴彦)ワールド”。星組としても(正塚作品は)久しぶりのですから、その世界を楽しみつつ真剣に取り組んでいるので、星組の意気込みを感じていただけたら。二番手の安蘭けいとは、これまでかたき役が多く、「アイーダ」では(安蘭が女役で)恋仲も演じましたが、男役同士でがっちりと組んでのお芝居は今回が初めてなので、ふたりのやりとりを見ていただけたらなと思います。(相手役の)白羽ゆりとは“組むには短すぎた”のか。“短すぎたとは言わせない”と言わせていただきたいのですけど、彼女もこの公演で星組を巣立っていくので、そういう意味でもこのコンビを星組でお届けできるお芝居とショーをお楽しみいただけたらなと思います。ショーは「これぞ、宝塚」といった華やかな世界が繰り広げられます。男役はかっこよさ、女役は美しさという宝塚の原点を見ていただけたらなと思います。
※STAGE GRAPHはこちらです。ストーリーに触れていますので、観劇予定の方は観劇後にご覧ください。