東京・丸の内消防署は9日から始まる「秋の火災予防運動」を前に6日、東京宝塚劇場1階ロビー(東京・日比谷)で恒例となっている「火災予防安全もちつきまつり」を行った。
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制服を「私服です」と冗談を交えるほどサマになる“湖月署長”(中央)。白羽(左)と安蘭(右)を従え敬礼 |
今年は、
「愛するには短すぎる」「ネオ・ダンディズム」東京公演中の星組のトップスター、
湖月わたるが署長を務め、同組娘役トップ、
白羽ゆりと男役、
安蘭けいも参加。10月1日から始まった防火安全性の高い建造物を認定する「優良防火対象認定表示制度(マル優マーク)」の紹介も含めて、防災訓練を行った。
1、2階を結ぶ踊り場へのらせん階段をりりしい制服姿の湖月が下りてくると、ロビーに集まった約400人のファンからは歓声があがった。
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「119」。火災の発生を電話で消防署に伝える白羽。落ち着けとばかりに胸に手をあてる仕草も |
訓練は、同劇場1階ロビーから出火という想定。湖月の「火災発生! 通報せよ! 初期消火!」という指令のもと白羽が119番通報。
湖月のハマりすぎている振る舞いに会場からは笑いが起きる場面も。白羽と安蘭は機敏にホースの先端を持ち、人間がふんした“火の粉”めがけて消火活動。
が、“事態”は暗転。心肺停止の負傷者が出た! 運ばれてきた人形に駆け寄る白羽。
悲痛な声で「わたるさん!」
これには背後で白羽の活躍を見守っていた“湖月署長”も苦笑。
すぐさま救急隊員の指示のもと、白羽と安蘭は心肺蘇生を試みる。懸命に心臓マッサージに取り組む白羽だが“わたるさん”の回復の見込みはなく、安蘭は電気ショックでの救命に切り替え、患者へAED(自動体外式細動器)装置の装着に取りかかった。
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心肺蘇生を試みる白羽と安蘭。安蘭はAED装着中は「患者には触れてはいけない」を忠実に守り、白羽を制する |
しばらくして蘇生の確認。会場の一同はホッと胸をなでおろした。
訓練が終わると臼す(うす)と杵(きね)が運ばれ、もちつき大会に。ファンたちの「よいしょ」のかけ声に合わせて湖月ら3人が消防署職員の手を借りながら代わる代わるもちをついた。
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安全の“ナガモチ”を祈願してもちつき。湖月らがついたもちは記者たちにもお土産にふるまわれた |
訓練後、丸の内消防署の須賀澤茂署長から委託状が手渡されると、3人はそれぞれ敬礼で答えるなどすっかり消防署員の顔に。
今回も合わせるとこれで3回目の“署長就任”になる湖月は「訓練を通して隊員の皆さんの活動に感銘を受けました。また、火災を人ごとだとは思わずに、起こさないように心がけていきたいと思います」と挨拶した。
須賀澤署長が「麗しき宝塚のスターさんにご協力いただき、丸の内の災害も激減するのではないかと確信しております。願わくば、湖月署長に丸の内消防署長に就任していただけたら丸の内の安全への関心がさらに高まると思うのですが皆さん、いかがでしょうか?」と会場に水を向けると割れんばかりの拍手と笑い声がロビーに充満。須賀澤署長も「では早速、手続きに移らせていただきたいと思います」と受けた。
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“湖月署長”による標語の解説も。垂れ幕をひとつひとつ読み上げ、会場のファンに認識を促した |
続けて「丸の内消防署は7月1日で開設80年となりました。また(同月)31日には火災による死者ゼロが1万2000日(現在も更新中)を記録しています。現在の問題は、救急車の数が足りていません。これから冬を迎えインフルエンザなどの流行もありますが、なるべく初期に自力で病院へ行っていただきたい。消防署では病院の紹介もしていますのでご利用ください。また、劇場やデパートに掲示されたマル優マーク(優良防火対象認定表示制度)に関心も持っていただきいと思います。」
もちつきまつりの後、劇場内で湖月らが会見。それぞれの防災意識について語った。
制服姿が当然のように板についている湖月は「実は今日の衣装は私服です」と冗談を交えながら「自宅に消火器がないのでこれから置きます」と火災の恐怖を体感したようす。白羽は枕元に懐中電灯を常備しているが、食糧や水の備蓄が課題と話し、安蘭は「震災(阪神・淡路大震災)で防災バッグの大切さを知ったのですが、いまだに用意していません。これから買います」と認識を改めた。
「火災予防安全もちつきまつり」は丸の内消防署管内の安全が“ナガモチ”することを祈願して始まったもので、今年で27回目を数える。第5回目以降から管内に劇場を構える宝塚歌劇団のトップスターたちが一日署長を委託され、地域防災に一役買っている。