星組ミュージカル「コパカバーナ」座談会
海外もの初主演の湖月わたる「ラテン好き、楽しみ」
5月10日(水) 大阪夕刊 by 平松澄子
宝塚歌劇団は6月、大阪の梅田芸術劇場メインホールで星組によるミュージカル・コメディー「コパカバーナ」を上演する。米ポップス界を代表するエンターテイナーのバリー・マニロウが、同名の大ヒット曲をベースに、全曲新しく作曲して作り上げた作品。演出の三木章雄が宝塚版に潤色し、高平哲郎が日本語脚本・訳詞を担当して、日本初演になる。主演の湖月わたる、白羽ゆりのトップ・コンビをまじえて、見どころや抱負を語り合ってもらった。
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「オリジナルより豪華で楽しい作品にしよう」と意見が一致した(左から)高平、湖月、白羽、三木 |
「コパカバーナ」の初演は1994年5月、英マンチェスターで、その後、ヨーロッパやアメリカ各地で上演された。物語は、若き作曲家のスティーヴンが、自身をモデルにしたトニーというキャラクターを主人公にミュージカルを作ろうとして、作品の世界に誘われていく…という、想像と現実の間を行き来するファンタジー。
湖月はスティーヴンとトニー、白羽はスティーヴンの妻のサマンサとダンサー志望のローラという、それぞれ2役を演じる。11月で退団する湖月にとっては、宝塚大劇場でのサヨナラ公演の、1つ前の作品になる。
湖月わたる 「なんか、ボーナスをもらった感じ。スケジュールはすごくタイトになりますが、海外ミュージカルは『エリザベート』以来で、主演は初めて。2役も初めてかも。ラテン好きな私としては、すごく楽しみです」
三木章雄 「ぼくはロンドンでこの作品を見たんです。いわゆるバックステージもので、主な舞台は1947年の、ニューヨークで一番のナイトクラブ。物語とショーが入りまざった、わりとルーズなミュージカルなので、観客が実際にナイトクラブでショーをみているような雰囲気にしたい。オリジナルはラストがさびしかったので、宝塚版は登場人物が全員顔をそろえるように変えて、にぎやかなフィナーレにします」
高平哲郎 「宝塚の仕事は『雨に唄えば』(2003年5月、東京・日生劇場)に次いで2回目。今回の作品は宝塚に向いていると思う。三木さんの潤色でオリジナルが改善され、ブロードウェーでも見られないものが、大阪だけで見られることになるんですよ」
三木 「じつはぼくと高平さんは同い年で、作品の舞台設定と同じ1947年生まれ。バリーとも同世代で彼の曲には親しみがもてます。現代のスティーヴンがシンセサイザーで作曲しているうちに、1947年の世界へ入り込むという導入なので、わたるには実際にシンセやピアノを弾いてもらいますよ」
湖月 「エッー、そうなんですか、大変だぁ」
白羽ゆり 「それは素敵! 私は最初はダサダサで登場して、しだいに変身するんです。宝塚の娘役のカラをいかに破って、ハジケられるか。明るく挑戦します」
湖月 「ナイトクラブ文化って今の日本では想像できないけれど、映画と音楽と脚本でイメージをふくらませて、いかに全盛期のムード出せるか、がみんなの課題になりますね」
高平 「歌詞にやたらと『LOVE』が多いんですが、とくに宝塚向きに訳すことはしません。宝塚の男役はとにかくかっこいい。ぼくは観客の立場で楽しみたい」
ほかに安蘭けいがギャングのリコ役、遠野あすか(専科)が妖艶な大スター、コンチータ役で出演。振付をダレン・リーが担当するのも話題だ。