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夢躍る非日常へトリップ
ヅカファンの聖地 宝塚を訪問
平成18年3月16日(木) 大阪夕刊 by 飯塚友子
♪タ〜カラヅカ〜わが〜心の故郷♪ 阪急宝塚駅前から宝塚大劇場に続く「花のみち」を歩けば、歌声も自然にわき出てくる。そう、タカラヅカはモダニズムあふれた大正の時代から歌劇と温泉の街。宝塚歌劇ファンにとっては“聖地”そのものである。駅を下りて周囲を見渡せば、「夢」や「乙女」の文字が躍り、花屋さんやお菓子屋さんの軒先に、タカラジェンヌのサイン入りポスターが張られている。いつ来ても変わらぬこの雰囲気!歌劇ワールド!! ヅカファンの幸福を味わいつくす日帰り旅行だった。

雪組が上演中の「ベルサイユのばら オスカル編」の豪華絢爛(けんらん)フィナーレ((c)宝塚歌劇団)
雪組が上演中の「ベルサイユのばら オスカル編」の豪華絢爛(けんらん)フィナーレ((c)宝塚歌劇団)


宝塚といえば歌劇。歌劇といえば宝塚。ここを訪れた観光客は、歌劇を見ないわけにはいかない。いまは雪組が名作「ベルサイユのばら」(オスカル編)を上演中。20日までだが、続いて24日からは宙(そら)組が「ネバー・セイ・グッバイ ある愛の軌跡」を公演する。

何を隠そう、私の宝塚観劇歴は15年。以前はもっぱら東京宝塚劇場で見ていたのだが、本場の宝塚はやっぱり違う。街をタカラジェンヌが行き交い、「すみれの花咲く頃」の歌碑や、男装の麗人のブロンズ像もある。ここでは、観劇前から歌劇が開幕しているのである。

さて「ベルばら」。チケットを取るのは至難の業だったが、何とかもぐり込むことができた。同じオスカル編を私は平成3年にも見たが、今回「こんなにいい作品だったっけ!?」と驚いたくらい、ものすごくよかった。フランス革命という激動の時代、オスカル(朝海ひかる)が自らの信念を貫こうと、背負い込まなくてもいい苦労をあえて引き受け、散っていく姿は、涙なしには見られない。それを静かに支えるアンドレ(水夏希ほか)の人間の大きさ…。宙乗りやレビュー場面ももちろん魅力だが、演者の熱演もあって、それぞれの役の人間としてのあり方までも伝わってきて、ドラマとして素晴らしかった。

観劇後は、劇場内のグッズ専門店「キャトルレーヴ」へ。スターのブロマイドや公演DVDはもちろん、今ならベルばらグッズもそろう。2階の「プチミュージアム」へ足を運べば、公演で使用された衣装や小道具も目の前だ。

オスカル様になろうとしたが、果たせず無念…(ステージスタジオ提供)
オスカル様になろうとしたが、果たせず無念の飯塚記者(ステージスタジオ提供)
あこがれのスターや役にとことんなりきりたければ、劇場内「ステージスタジオ」で舞台衣装をまとおう。予約すれば舞台メーク付きコースもあり、独特のメークも体験可能だ。衣装は人気作品を中心に男女役合わせ29種もある。同スタジオの竹中淳さんによると、2日間かけすべての衣装を着た女性もいたらしい。1カ月前から始まる予約はすぐ埋まるそうだ。私も試しに2時間かけオスカルに変身してみたが…出来上がった写真は、これはモロ「アヤしい人」。これではバスティーユではなく、余興に向けて宴会場に突撃するしかあるまい。

大劇場から2分も歩くと、ドーム形の特徴ある建物が見えてくる。宝塚が産んだ漫画の巨匠「手塚治虫記念館」だ。手塚さんは5歳から24歳までを宝塚で過ごし、歌劇の影響が「リボンの騎士」に反映されたことは周知の通り。常設展では、幼いころ描いた虫のイラスト(天才的!)や、「ジャングル大帝」の下書きなど、手塚のルーツをたどる貴重な資料に触れられる。現在は漫画家デビュー60周年を記念し、亡くなるまでの漫画家生活43年間の歩みを振り返る記念展を7月11日まで開催中。直筆原稿306点などが公開されている。

同記念館の北側に隣接するのが「宝塚ガーデンフィールズ」。英国風の庭園やカフェなど、野外で息抜きしたい人は、こちらを散策してもよい。個人的にはガーデンショップ「グリーン・デコ」が、茶器や英国雑貨がそろっていて、見るだけでも楽しかった。

地図


そして仕上げはやはり温泉。阪急宝塚駅に近い武庫川対岸の日帰り温泉「ナチュールスパ宝塚」を目指す。安藤忠雄さんが設計したモダンな建物には、フロアごとに天然温泉や2種類の岩盤浴、エステやマッサージなど、疲労回復メニューがてんこ盛りだ。私も神経痛に効果があるという茶褐色の湯につかり、ローズ岩塩の岩盤に乗っかってきたが、暑苦しくないのに、驚くほど汗が出て、老廃物が一気に抜けたような爽快(そうかい)感を味わった。

非日常があふれる街、タカラヅカ。これからも変わらず、わが心の故郷でいて−。ああ、関西に転勤したかいがあった。



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【アクセス】 大阪(伊丹)空港から阪急の直通シャトルバスで約30分。230円。
JR新大阪駅からは(1)JR東海道本線で大阪駅で乗り換え、JR福知山線(宝塚線)で宝塚駅下車なら約40分。480円(2)大阪市営地下鉄御堂筋線で梅田駅乗り換え、阪急宝塚線で宝塚駅下車なら約55分。500円。

【宝塚歌劇】 未婚の女性による歌劇集団で、花、月、雪、星、宙(そら)の5組が、宝塚大劇場、東京宝塚劇場を中心に通年公演を行っている。阪急電鉄の創始者・小林一三氏が、旅客誘致のため結成した「宝塚唱歌隊」が前身。大正3年初公演。90年を超える歴史があり、レビューや海外ミュージカルを日本で初上演してきた。
チケット予約、問い合わせはインフォメーションセンターTEL0570・00・5100。座席料金は2000円−10000円。

【プチミュージアム】 舞台衣装や小道具、スターの手形などを展示。公演ごとにメーン展示は変更。館内は一部を除き撮影可なので、あこがれのスターの衣装の前で記念写真もOK。入館料400円。

【ステージスタジオ】 人気作品の衣装、カツラを着て、大変身できる写真館。予約の要らない舞台メークなしコース(約15分、5250円〜)と、メーク付きコース(要予約、約2時間、11000円〜)がある。問い合わせ、予約TEL0797・85・6758。1カ月前から予約を受け付ける。

【宝塚ガーデンフィールズ】 英国風庭園や犬と触れ合えるペットパークなど、自然を楽しめるスポット。飲食店、雑貨などの店舗もある。庭園入園料大人600円。歌劇の当日券があれば無料。問い合わせTEL0797・85・6210。

【市立手塚治虫記念館】 手塚さんゆかりの品や作品を集めたミュージアム。アニメ制作体験コーナーや、オリジナルグッズ販売も。入館料大人500円。問い合わせTEL0797・81・2970。

【ナチュールスパ宝塚】 天然温泉と岩盤浴が楽しめる大型スパ施設。水着着用の露天ジャグジー、プール(女性限定)もある。タオルやせっけん類を備え、手ぶらでたちよれる。入浴料女性1000円、男性800円。岩盤浴はプラス800円。問い合わせTEL0797・84・7993。
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