（４）今日一日を無事に楽しく

6月23日(金)　大阪夕刊

「エリザベート」のルキーニ役

宝塚歌劇創立９０周年の平成１６年は、花組の「Ｌａ　Ｅｓｐｅｒａｎｚａ」に特別出演。翌１７年は月組に戻り、大ヒット作のウィーン・ミュージカル「エリザベート」で、暗殺犯ルキーニを確かな歌唱力と演技で見せた。「見るものだと思っていた作品が、５組目についに回ってきたって感じでしたね。ルキーニは手強く、すごくしんどい役。舞台の居方が難しかった」

同年７月には大阪の梅田芸術劇場メインホールで、新生月組によるアメリカのミュージカル「Ｅｒｎｅｓｔ　ｉｎ　Ｌｏｖｅ」に、アルジャノン役で出演。「これは軽いタッチで楽しくやれました」。また、歌舞伎と宝塚が初共演した「平成若衆歌舞伎」、ブロードウェーミュージカルの「ガラコンサート」と、外部出演も２度経験した。

「宝塚の日本物の原点は歌舞伎にあるだろうと思ったので、すごく勉強になりましたね。日本に一つしかない宝塚、という意識を強く持ちました」

今年は星組の「ベルサイユのばら」にオスカル役で特別出演。「“ベルばら”も月組には縁がないと勝手に決めつけていて、えらいことになったと。オスカルは短い期間でしたが、熱く生きられました」

男役の魅力について聞くと、「伝統を引き継いでいくベーシックなものに加えて、自分の個性を大事にしたい。霧矢がやってるこの役というふうに、役ごとに変わっていけたらいいなと思う」との答え。ところが、将来の希望は？　と聞くと、「そういう質問が苦手。病気をしてから、そこが一番考え方が変わった点です」という。

「次にこうしよう、あれをやりたい、これもやりたいと考えるより、今、目の前にあること、その公演をちゃんとやることが大切。今、今日一日を無事に楽しく過ごすことを心がけるようにしています」

７月は７日から東京宝塚劇場公演「暁のローマ」「レ・ビジュー・ブリアン」(８月２０日まで)、１０月には東京・日生劇場公演「オクラホマ！」に出演する。

■霧矢大夢　かく語りき＜これまでのインタビュー＞
・06年も充実したスタートを！（１８年）
・宝塚パーソナル・ブックII VOL.7　霧矢大夢（１７年）
・宝塚歌劇団９０周年　薫る新風　輝く６人（１６年）
・盛りだくさんのショーに（１６年）
・試練こえ　輝き増す（１６年）
・バウ・ロマンス「愛しき人よ」開幕（１６年）
・単独初主演　のびのびと勢いよく（１４年）
・赤ちゃん名前辞典でみつけた名前 （１４年）
・こけら落としで“歌い初め”（１３年）
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