タカラジェンヌ 夢の軌跡 月組 霧矢大夢
(3)病気で知った人の支え、思いやり
6月16日(金) 大阪夕刊
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「ガイズ&ドールズ」のアデレイド役(左) |
北京・上海(平成11年)、ベルリン(12年)と、海外公演に続いて参加。14年は「
ガイズ&ドールズ」で初めての女役、アデレイドをコケティッシュに演じた。
「また大好きなブロードウェーミュージカルだったので、楽しんでしまいました。とてもインパクトがあり、自分のキャラクターを生かせる闊達な役でしたが、宝塚での女役の難しさも感じました」
同年6月には「SLAPSTICK」で宝塚バウホール公演の単独初主演を果たす。実在の映画監督マック・セネットの半生を描くコメディーだった。
「ドタバタ喜劇みたいで、わいわいガヤガヤ楽しくやっているうちに終わった感じですね」
次の宝塚大劇場公演「
長い春の果てに」(同年8月)の麻酔医アルノー役では、大きな壁にぶつかったという。
「初めての大人の男性の役。それまでは元気のいい、生き生きとした役どころが、私の持ち味と思われていたので。ダンスも歌もあまりなく、存在感だけで見せなければならないのが難しかった」
あれこれぶつかりながらも、順調にステップアップしてきた霧矢だったが、思わぬ病いに襲われる。15年7月の「
シニョール ドン・ファン」公演中に初期の膠原病と診断されて、治療に専念するため途中休演。決まっていたバウ公演の2度目の主演も降板を余儀なくされた。幸い、順調な回復ぶりで、11月の「
薔薇の封印」から舞台復帰したが、約4カ月のつらい闘病生活で、人生の見方や考え方が大きく変わったそうだ。
「肉体的にも精神的にもすごく不安で、もちろん、やめることも考えました。ただ、このままやめたくないという気持ちが強かったんです。そのときの思いはひと言ではとても言い表せない。一番思ったのは、人の支えや思いやりの大切さ。それまで一人で突っ走ってきたものが削ぎ落とされた感じでしたね。いろいろ波はありますけれど、舞台に立ってふつうに生活できることに、感謝の気持ちでいっぱい。よく食べ、よく寝て、なるべく規則正しい生活を心がけています」
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