サヨナラの日まで、スミレ色に染まり続けていたい

6月6日(火)　text by　平松澄子　photo by 奥地史佳

宝塚歌劇団雪組の娘役トップ、舞風りらが６日午前、兵庫県宝塚市の宝塚歌劇団会議室で記者会見し「堕天使の涙」「タランテラ！」の東京公演の千秋楽となる１２月２４日で退団することを明らかにした。

先に退団を発表した雪組トップスター、朝海ひかると同時退団になる。

会見は同歌劇団の小林公一理事長が「舞風は花組時代から注目された娘役で、組替えになった雪組で才能を開花させ、宝塚を代表する娘役になってくれた。最後まで舞台で輝いていけるようにしたい」とあいさつして始まった。

舞風は、生成のワンピースとフェミニンなボレロというかわいらしいスタイルで会見に臨み、「私事ですが１２月２４日で宝塚歌劇団を卒業させていただくことになりました。朝海さんの相手役として雪組に来たときから、温かく見守っていただいて感謝の気持ちでいっぱいです。最後の日まで宝塚の生徒であるという誇りを胸に、日々精進してがんばります」と話した。

退団の時期は、雪組に組替えになったときから常に意識してきたそうだ。

「いろいろな作品に出させていただいて、１公演ごとに充実した日々を送らせていただきました。最終的な決断は『ベルサイユのばら』という大作に出演が決まったこと。ほんとにうれしかったし、私はショーが好きなので『ベルばら』の次の２本立て公演を最後にしようと決めました」

朝海と同時退団になることについては、「自分の中では昨年の『霧のミラノ』公演のころから決意していたんですが、朝海さんと同時に卒業させていただくことがわかったときは、すごくうれしかった。ただ、『ベルばら』が終わるまでは公演に集中して、その東京公演後に朝海さんに報告させていただきました。『がんばってください』と言われました」という。

会見では以下のように、次々にしっかりと答えた。

−−一番、心に残っているのは？
あこがれの宝塚に入れたことですね

−−思い出深い作品は？
全部ですが、『Ｒｏｍａｎｃｅ ｄｅ Ｐａｒｉｓ』『スサノオ』『霧のミラノ』が好きです」

−−舞台人として心がけたことは？
後半はとくに、周りの方があっての私だと、感謝の気持ちと、舞台への熱い想いを大切にしてきました

−−娘役としての心構えは？
男役さんの隣にいてホッコリ、やわらかい雰囲気を出せること。２人でいいね、といっていただけるように考えていました

−−後輩に何かアドバイスは？
宝塚を大好きという気持ちを忘れないで、ハートのある舞台人になってほしい

退団後の予定ははっきり決めていないというが、「私は体を動かすことが好きなので、これまでの経験を少しでも生かしていけたらいいなと思っています」。女優の道へ進みそうだ。

退団までのスケジュールは、全国ツアー公演「ベルサイユのばら」＝７月１〜２８日▽「ＴＣＡスペシャル２００６」＝９月１〜２日、宝塚大劇場▽サヨナラ公演「堕天使の涙」「タランテラ！」＝９月２２日〜１０月３０日、宝塚大劇場▽「舞風りらミュージック・サロン」＝１１月３〜４日、宝塚ホテル▽サヨナラ公演「前に同じ」＝１１月１７日〜１２月２４日、東京宝塚劇場。

「『ベルばら』の全国ツアーは、本公演と違っていろんな方が役替わりされる。新しい『ベルばら』を目指してがんばります。退団の日までは宝塚一色で」と抱負を述べた。

舞風は東京都出身。宝塚音楽学校を首席で卒業して、７（１９９５）年に星組「国境のない地図」で初舞台を踏んだ。可憐な雰囲気とバレエで培われたダンス力で早くから注目され、花組に配属になってほどない８（９６）年、「ハウ・トゥー・サクシード」新人公演（第１部）で初ヒロインのローズマリーに抜擢。同年１２月の「香港想曲（ノクターン）」では、テレサ役で宝塚バウホール公演初ヒロインを果たす。その後も９（９７）年「君に恋してラビリンス」のパトリシア役、１２（２０００）年「トム・ジョーンズの華麗なる冒険」のソフィ役と、バウ公演では立て続けにヒロインをつとめた。

１４（２００２）年８月に雪組に組替え。全国ツアー公演「再会」「華麗なる千拍子２００２」より、トップに就任した朝海の相手役として主演娘役をつとめる。トップ・コンビの宝塚大劇場お披露目公演は１５（０３）年１〜２月の「春麗の淡き光に」「Ｊｏｙｆｕｌ！！」。大劇場ではその後、「Ｒｏｍａｎｃｅ　ｄｅ　Ｐａｒｉｓ」、「スサノオ」、「青い鳥を捜して」、「霧のミラノ」などに出演する。

愛らしい容姿に軽やかなダンス、常に朝海にぴったり寄り添う姿は、まさに宝塚の伝統的な娘役。今年は「ベルサイユのばら〜オスカル編」のロザリー役で、新しいヒロイン像を好演した。

■舞風りら　会見GRAPH
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■舞風りらの軌跡
・バウではじっくり芝居作り（17年）
・新境地へ自分開拓(16年)
・王女としてよりひとりの人間としての感情表現を(15年)
・日比谷は一足早く満開の桜！！(15年)
・新トップコンビ　意気込みを語る(14年)
・風のように舞うリラの精(14年)



■雪組　STAGE GRAPH
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■公演情報の詳細などは宝塚歌劇団公式サイト
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