宝塚歌劇団「オクラホマ!」日生劇場公演記者会見の内容は以下のとおり。
小林公一理事長 「オクラホマ!」は、宝塚歌劇団の原点です。これを今の宝塚でお見せしたい。全身全霊で作り上げます。
中村一徳(演出家) 「オクラホマ!」は1967年、84年の2度上演されました。今回は轟悠、そして霧矢大夢、城咲あいをはじめとする月組メンバーならではの新しい「オクラホマ!」となるようプランを煮詰め、けいこを重ねたい。この作品はリチャード・ロジャースとオスカー・ハーマンスタインIIというあまたの名作を作った2人による作品。すべてのミュージカルの基礎だといって過言ではありません。当時ミュージカルはどれも明るく楽しいものばかりだといわれていた中で深く人間を描いて観客の心を打ったと聞いています。けいこは9月から。どのような西部の人間を描くか期待してください。私は日生劇場では2回仕事をさせていただいていますが、またかかわれて光栄です。楽しんでいただけるようにけいこを重ねます。
轟悠 3度目の日生劇場公演。名曲がいっぱいの名作。期待で胸がいっぱいです。84年のバウホール公演は音楽学校の本科生のときに1、2回観たぐらいですが、よく覚えています。当時のものを上回るものを作りたいです。中村先生とのお仕事も久しぶり。先生はすでにこの作品にとりかかっているそうで、私たちも月組東京公演が終わったら全力で取り組みたいです。霧矢くんら36人の月組生で「オクラホマ!」を完成させたいです。
城咲あい とてもすてきな作品に出演できて、光栄です。月組公演でも轟さんとご一緒させていただき、勉強させていただいています。今回も轟さんに一生懸命ついていきたいです。
霧矢大夢 私が演じるジャッドは、登場人物の中でただひとり孤独な男ということで、演技の幅が広げられると期待しています。月組公演に続いて轟さんとご一緒させていただきます。月組ならではのチームワークをせいいっぱいお見せしたい。
−−今の時代に「オクラホマ!」を上演することの意味は
中村 この作品は古き良き米国の純粋さを感じさせます。登場人物はすべへて純粋。現代人が忘れている優しさもあり、そこに新鮮さを感じていただけるのでは。リチャード・ロジャースとオスカー・ハーマンスタインIIの音楽を、いかにテンポアップして現代の観客に聞いてもらえるか。初演時は従来の宝塚作品とは異質だと話題になったそうです。つまり西部の男と宝塚とは相容れないということです。ただ、登場人物の心のうちというものに関していえばとても宝塚的な作品だと思っていますので、宝塚の世界観を崩さずにいけるのではないかと考えています。
−−現段階でもっている役のイメージを教えてください
轟 宝塚版、ブロードウェー版、映画版を拝見しまして、その中でのカーリーという役のイメージは明確なものがあります。が、今回は中村先生の脚本が宝塚的に作られているということですし、そのスタイルと今の私と月組のみなさんとのコラボレーションになるかと思います。今は一期一会を痛感していますので、役を固めるよりも、そういう場所に飛び込んでいくことで役をじょじょに作っていきたいですね。ミュージカルをやりたかっのでともかく楽しみにしています。
霧矢 まだまだこれから考えます。ジャッドという役に関しては、轟さんとがっちり組んだお芝居ができます。今の月組公演ではそんなにご一緒させていただいていません。「オクラホマ!」という作品は音楽がすばらしいと思っています。おなじみの曲も多い。私が参加する歌は少ないのですが、作品に参加すること自体が楽しみです。本番をどうぞお楽しみに。
城咲 映画を見ましたが、純粋だと中村先生がおっしゃったように自分に正直な女性だと思いました。カーリーに告白されてまっすぐ生きていくことを大切にしたい。月組公演でも伸び伸びとお芝居をさせていただきました。轟さんはそれを受け止めてくれるので、また伸び伸びと演じられたらいいなと思います。
−−理事長、なぜ今「オクラホマ!」なのか
小林 67年の初演時は米国から演出家を招きましたが、あれから宝塚もいろいろなことをやってきました。40年たって原点というべき作品をどう調理できるか。日生劇場公演がちょうど5回目だということも考慮して、原点のような作品が40年たってどうなるかをお見せしたいと考えたわけです。
−−お互いの魅力を教えてください
轟 月組生とは自分たちをほめ合う組せしいですね。さて、霧矢くんですが以前から舞台は拝見しています。今回「暁のローマ」では、近くにいるけれどからんではいないんです。私が殺されるときも助けてくれない。今回の「オクラホマ!」はミュージカルです。彼女は歌が得意だから安定した舞台になり、もっともっとというお客さまの要求にこたえることもできる。カーリーという明るいタイプとジャッドという秘めている役とでどう闘うか戦略を練っています。
霧矢 私が轟さんの魅力を語るのもなんですけど、雲の上の存在の方です。「暁のローマ」では役立たずの副将でご一緒にの出番は少ないけれど、轟さんは男役としての存在感などすべてがすばらしい。秋までご一緒させていただけるので学ばせていただくところがたくさんあると思います。全身全霊で轟さんにぶつかっていきたいです。
轟 城咲さんは目立つ人。スラッとしていて理想の娘役さんです。ふだんのあいちゃんはコロコロよく笑う。昔はもっと静かだったと聞いて驚きました。私は共演相手に「こうしなさい」といわないので、自由にやってほしい。舞台では上限関係などないから、持ち前の朗らかさでやってほしいですね。
−−歌の感想は?
轟 名曲すぎてじたばたしています。キリヤン(霧矢)は他人のうたばかり口ずさんでいますが、観てくださったかたも1回ですぐに口ずさめるはずです。早く舞台に立って思い切りうたいたい。
霧矢 「オクラホマ!」の楽曲は宝塚のイベントでもよく使われるのでなじみあるものばかり。ほかにもこんなに名曲があったのかと思っています。
城咲 私も映画で観たとき、初めて聞いたのに耳に残り、心弾む歌が多かったので楽しみにしています。
中村 今回は可能ですので、宝塚的な変更は考えています。ただ、通常だったら曲の長さを芝居全体の長さに合わせて削ったりするのですが、「オクラホマ!」はひとつひとつドラマチックなので、従来のようにはいかずに苦悩しています。フィナーレの部分も今の人にどのように印象づけられるか。いちど素直に自分の感性とメンバーの個性を照らし合わせたうえで作り直したい。
−−日生劇場という劇場について
中村 舞台装置が宝塚とは違います。立体的にしないとわかりにくいので、そのあたりはアレンジをしたいです。
−−「暁のローマ」について
轟 私ももともと月組だったのですが同期はもう(組長の)夏河ゆらしか残っていない。夏河が寿退団するので、そういう意味で希望をもって公演できる作品です。やっとみんなの名前と顔が一致しました。月組のみなさんと楽しくやりたいです。
霧矢 ロックオペラです。研1(入団1年目)の生徒9人も加わって大所帯です。「オクラホマ!」のの秋まで東京・日比谷を月組でジャックしたいです。ショーの「レ・ビジュー・ブリアン」は宝石がテーマ。極上の輝きを放つ轟さんを筆頭に輝くショーになっています。
−−自分を宝石にたとえると
城咲 庶民なので宝石の名前は分かりません。ピンクが好きなのでピンクの宝石が好きです。
霧矢 プロローグではルビーの男ですが、中盤ではピンクダイヤの男で登場します。甘い色合いが出ればいい。宝石で好きなのはなんにでも合わせられるダイヤモンド。ダイヤを小さく身に付けるのが好き。
轟 ダイヤは男女の違いなく魅せられますね。オニキスの深い黒も好き。日本のパールも好きですが、お手入れが大変なのでもっていません。ですから、よろしくお願いします。