星組「ベルサイユのばら〜フェルゼンとマリー・アントワネット編」
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劇画超え、深みと輝き増す 宝塚大劇場公演評
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1月25日(水) 大阪夕刊 by 平松澄子 |
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マリー・アントワネット生誕250周年を記念して、宝塚の花園に5たび咲いた「ベルサイユのばら」。再演を重ねるたびにきらびやかさが増し、キャストの熱演、スタッフの意気込み、ファンの熱狂が一体化して、今回もまた、すさまじいフィーバーぶりだ。もはや池田理代子原作の劇画を超え、宝塚でしかできない、宝塚のエッセンスを凝縮した作品として燦然(さんぜん)と輝いている。
星組による「フェルゼンとマリー・アントワネット編」は、湖月わたると新しい相手役、白羽ゆりの、新トップ・コンビの宝塚大劇場でのお披露目公演。すでに昨年から、全国ツアー公演と初の韓国ソウル公演で経験を積んでおり、湖月フェルゼン、白羽アントワネットの役柄の解釈は深い。とくに白羽が急成長し、舞台装置や衣装の豪華さも加わって、数段にグレードアップした仕上がりとなった。
アントワネットは14歳のときにオーストリアからフランスへ、夢いっぱいでお輿入れ。しかし、宮廷での生活は華やかな半面、孤独だった。そんな中でスウェーデンから留学中のフェルゼン伯爵と出会い、激しい恋に落ちる。近衛隊長で男装の麗人、オスカルは2人の気持ちを知りながらも、フランスのために、フェルゼンに帰国するよう忠告する。時代は民衆の不満が募り、フランス革命(1789年)へと突き進む激動期。捕らえられたアントワネットを救うため、帰国していたフェルゼンは命がけで救出に向かうが…。
許されない愛ゆえに強く心が結ばれた恋人同士。せつない心情を湖月が円熟した演技で、ていねいに、激しく、かっこよく見せる。タカラジェンヌの極めつけの役ともいえるオスカルは、特別出演の朝海ひかる(雪組)ら5人が交代で出演。バスティーユの名場面などはいずれ劣らぬ大熱演だ。それぞれのオスカルを受けるアンドレ役の安蘭けいが、じつにうまい。
今回は主要人物のほかにも、メルシー伯爵(未沙のえる=専科)、ルイ16世(英真なおき)、モンゼット侯爵夫人(出雲綾=専科)らの役どころがしっかりと書かれていて、作品に深みを与えている。また、アントワネット自身が作詞・作曲した「出会い」を、一幕の終盤で白羽が歌うのも新しい見どころ。きれいなメロディーで運命を予感しているような詞が心に響く。
2月6日まで。
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