国王ルイ16世(英真なおき)は、夜の闇の中を散歩していた。宮廷で国王たる自分に許された唯一の、ほんのひとときの自由なのだと。ルイ16世は、知っていた。華やかなアントワネットと引っ込み思案の自分と。ふたつの心がすれ違い続けていることを。アントワネットの心がだれに向かっているのかを。