24日の東京公演千秋楽後の朝海ひかるの退団会見全文は以下のとおり。
朝海ひかる みなさまには日ごろ、宝塚歌劇、雪組、そして私をご支援していただきありがとうございました。今宝塚の舞台を終えまして、すがすがしい気分と充実感、しあわせな気持ちでいっぱいです。16年、お世話になりました。
−−宝塚とはどのような場所でしたか? いちばんの思い出は?
朝海 私にとってのすべてでした。何をするにも、何を見るにも、宝塚と結びつけてきました。すべてが宝塚につながっていました。きょうという日がきっと美しい思い出になるだろうなと客席を見渡しながら思いました。こんな思いをさせてくださったみなさまに感謝の気持ちでいっぱいです。私は初舞台を踏んでから何度もくじけそうになりました。舞台は合わないのではないか。男役は自分にはできないのではないか。心配したり落ち込んだりしたこともありました。そういうときお客さまが私支えてくださいました。見守ってくださって成長するとすごくほめてくださって。そのたびに一段ずつ階段をのぼって、次の目標に向かえました。私の成長は、お客さまのおかげ以外のなにものでもありません。本当に感謝しています。
−−退団を実感したのはいつですか?
朝海 退団を発表した翌日からはすがすがしい気分で最後の公演に向かってがんばろうという気持ちだけになれました。ただ、退団の実感はまだわいてきていません。今も私、本当にやめるのかなあという気分。それほど私の中に宝塚がしかりと根付いています。あすからどうなるのか、まるで分かりません。たぶん、1、2カ月たったところで退団したのだという実感がわいてくるでしょう。
−−今朝、楽屋入りする際、組の仲間たちが迎えてくれた際も実感がなかった?
朝海 楽しいイベントをやっているという感じでした。楽屋入りする際、組のみんなに迎えられてうれしい、幸せだ、楽しいという気持ちでした。これで別れるのだなんて、まだ思いたくないから思えないのか。ともかく実感はありません。
−−今後の予定は?
朝海 はい。今後の予定ですが、「(退団後の)25日にならないと分からない」と言っていたんですが、いろいろと考えて、いろんなことが決まりました、その都度みなさまにご連絡したいと思っています。
−−舞台活動を続けるということですか?
朝海 ま、さまざまなことだと思われます。
−−退団者あいさつで大階段を下りる際、よろけていましたが
朝海 足元が滑りまして、すごくびっくりしました。宝塚大劇場(の千秋楽で)で大階段を下りるときは一段ずつ踏みしめて、その感触を覚えておこうとしましたが、きょうは大階段から見た客席のようすなどの景色を忘れないようにしようと思いながら下りました。
−−お花渡しの際、(同期で花組トップスターの)春野寿美礼は、何をささやいたのですか?
朝海 「さみしいよ〜」って言っていました。
−−涙はこらえたのですか?
朝海 やはり男役として、舞台人として全うしたかったので幕が下りるまでは、サヨナラショーが終わるまではお客さまに楽しんでいただきたかったので。舞台として楽しんでいただけるものをお届けしたかったので、いっときの感情に流されずに今できるすべてを見ていただきたくてがんばりました。
−−明日から当面は何をしたいですか?
朝海 ゆっくり温泉にでも行って、たまには海外旅行に行って、自分と向き合いたいです。そういう時間が今まではなかったので。自分がどういう人生を歩みたいのか。どんな方向に進みたいのか。自分と話し合うじかんを 作りたいです。
−−雪組に贈る言葉は?
朝海 ファンのみなさまとはまた違った支えを私にくれたのが雪組のみんなでした。雪組は私の体の一部になっています。あすからはもう毎日は会えないのかと、いまはそんなことは思いたくありません。でもきっと来年から雪組は新しく変わっていくでしょう。新しい挑戦をするでしょう。今の雪組なら何がきても怖くないはずです。今まで以上の雪組を作ってくれると確信しています。(演出家の)荻田(浩一)先生が言っていたんですけれど、私が悔しがるような雪組になるんだと。私も客席から悔し涙を流したい。何も心配はしていません。