星組の娘役トップスターとして、来週15日初日の「ヘイズ・コード」(大阪シアター・ドラマシティ)でデビューする。
新トップスターの安蘭けいとは、歌、ダンス、芝居と三拍子そろった芸達者な主演コンビとして、期待が大きい。
「安蘭さんの相手役に決まって、すごくうれしかったです。密(ひそ)かに夢見ていたけれど、あり得ないと思っていましたから。舞台はもちろんすばらしいですが、誰にでもわけへだてなくて、周りを冷静に見てらして、人にやさしい。しかも、普段はおもしろいんですよ。女性として尊敬できますね」。晴れ晴れとした表情で言った。
安蘭と初めて共演したのは今年6月の「
コパカバーナ」(大阪・梅田芸術劇場メインホール)。ギャングのリコと、愛人の大女優コンチータという“濃い役”だった。「ヘイズ・コード」では、1930年代後半のハリウッドを舞台に、映画製作倫理規定(ヘイズ・コード)の監視を仕事とするレイモンドと、新人女優のリビィという役で、互いに反発し合いながらも惹(ひ)かれあっていく、スクリューボール・コメディーに挑戦する。
「ポスターはシックな大人のラブロマンス系ですが、舞台はタップが満載で軽いタッチ。リビィのキャラは映画『NANA』の小松奈々(ハチ)のイメージかな。安蘭さんが“こんな感じでどう!?”って、原作の漫画を贈ってくださったんです。ポンポンとモノをいうあっけらかんとした娘(こ)が、恋愛になるとシャイで素直になる。そんなかわいい部分が出せればいいなと思っています」
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宝塚歌劇の舞台を初めて見たのは、衛星放送の「ル・ポァゾン愛の媚薬」。たちまち虜(とりこ)になって音楽学校受験を決め、2回目に合格した。
キュートな容姿と歌唱力で早くから注目され、入団2年目の平成11年「Crossroad」(宙組、ドラマシティ)でヒロインのヘレナ役に抜擢(ばつてき)されたのを皮切りに、新人公演のヒロインを計5回もつとめ、宝塚バウホール公演のヒロインも「NAKED CITY」(16年、花組)のデイジー役など多数。十分な実績の中で転機になったのは、初めて外部出演した「Cinderella(シンデレラ)」(14年、東京・新宿コマ劇場)だったという。
「次々にいい役をいただくのは光栄なことですが、宙組時代はあまり自覚がなく、花組に組替えになってからは、苦しくなって楽しめなかった。それが『シンデレラ』のとき、ご一緒させていただいたOGの方たちが、私のいいところをすごく言ってくださる。気持ちがプラス志向になって、舞台って楽しいなと思えるようになったんです」
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専科へ異動したときは、「花組のみんなと別れるのが信じられないほどつらかった」そうだが、星組の「コパカバーナ」の稽古(けいこ)の集合日に、「わずか1時間でこの組にいたい、ここが居場所だと思えて、くつろいじゃいました。その星組に戻れて、ホントにうれしいです」。
来年は宝塚大劇場でのお披露目公演「さくら」「シークレット・ハンター」が決まっている(3月23日初日)。「安蘭さんから“宝塚の枠を広げる2人になれたらいいね”と言われました。求められる娘役のイメージを守りながら、自分を見失わず、限界に挑戦していきたい」と抱負を語った。