透き通るような肌の白さがまぶしく、華やかでやわらかい雰囲気の中に、リンとした強さもかいま見える。
「私、常に演じている役が、そのときの自分に反映しちゃうんです」という。今は「愛するには短すぎる」(11日初日、宝塚大劇場)のバーバラ。大西洋横断の豪華客船の船上を舞台にした4日間のつかの間の恋を、切なく美しく描く物語である。
「バーバラはほとんど等身大の女の子。船でフレッド(
湖月わたる)と出会い、幼なじみだったことが分かって心がふれ合う。フレッドの友人のアンソニー(
安蘭けい)からも一目惚れされて、微妙な心の揺らぎも感じるんです。劇的な出来事があるわけではないけれど、バーバラ的にいろんな経験をして今があるだろうと思う背景を考えて、人物像を掘り下げないと舞台に立てない。難しいです」
大きな瞳をクリクリさせながら、懸命に説明する。
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三人姉妹の末っ子。「ベルサイユのばら」(平成元〜2年星組)を見て宝塚ファンになり、白城あやか(元星組娘役トップ)にあこがれてタカラジェンヌを目指した。
星組とは不思議な縁で結ばれていたらしい。昨年2月に雪組から星組に組替えになり、9月にトップスター・湖月わたるの相手役として、娘役トップに就任。いきなり“
ベルばら”のヒロイン、フランス王妃マリー・アントワネットという大役でデビューする。全国ツアー公演を皮切りに、11月の韓国ソウル公演、今年正月からの宝塚大劇場お披露目公演、4月2日千秋楽の東京宝塚劇場公演まで、まさに“ベルばら”一色だった。
「夢が叶って、うれしいし、ありがたい。でも、そんな気持ちより、主演娘役という立場よりも、“ベルばら”を成功させなければ! ってプレッシャーがすごく、無我夢中でした」
次の作品はガラリと変わって、海外のミュージカル・コメディー「
コパカバーナ」(6月、大阪・梅田芸術劇場メインホール)。2役をコケティッシュに演じ分けた。「今では、なんて楽しい作品だったんだろうって思います。でも私、やっているときはいつも必死で、いっぱいいっぱいなんですよ」
大劇場2公演目となる「愛するには短すぎる」は、ロマンチック・レビュー「ネオ・ダンディズム!」との2本立て。トップの湖月はこれで退団する。
「娘役は男役さんに尽くすのがベースだと思いますが、私は稽古場でもがくタイプ。それを“ザ・男役”の湖月さんは、いつでも、どんな角度からでもやさしく受け止めてくださる。すべてに大きな方。退団されるのはホントに切ないですね」
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ひとつの公演が終わり、休みがとれると必ず旅行に行く。
「私は演じる役柄を通して、いろんなことを学ばせてもらっているし、女性として、人間としてどんどん成長していきたい。でも、自分自身が一番未知なんです。だからリフレッシュを兼ねた自分探しみたいなところがあって。また次の舞台への意欲がわいてきますね」
とにかく今は舞台に夢中のようで、どんなことでも舞台に結びついてしまう。
「私は人が好きで、いろんな方とからんでお芝居をするのが好き。今後やりたいのは黒塗りの役で、カルメンみたいな情熱的な女性。たぶん、自分には一番遠いだろうと思う役を演じてみたいんですよね」