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演技指導 美吉左久子:すみれの園を創る人たち
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演出意図を理解しアドバイス
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春恒例の宝塚大劇場の行事に、初舞台生の口上がある。黒紋付に緑の袴の正装で並び、「わたくしたちは…清く正しく美しく…」と日替わりで懸命にあいさつする姿は、いつ見てもすがすがしい。今年は第91期生の47人が25日初日の花組公演「マラケシュ・紅の墓標」の冒頭で登場するが、その口上指導を担当している大ベテランである(関連記事:新タカラジェンヌ ラインダンスを披露)。
「やはりパッと幕が開いた瞬間、正装でビシッと並んでいる姿がいいですねぇ。着物の着方から、足の開き具合、肩の位置、指先のそろえ方などの所作、セリフの話し方などを細かく指導します。ちょっと注意することできれいに見えるんですよ。今年の生徒さんたちはなかなかシッカリしていますね」という。
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神戸市出身。昭和7年初舞台。芝居巧者で強烈な個性の男役として、戦前戦後を通じて活躍。25年以来20年間にわたり、月組、雪組、花組、星組と4組時代の全組の組長を歴任した。代表作は26年「虞美人」の氾増、27年「ジャワの踊り子」のハジタムロン刑事、39年「シャングリラ」のゾルボン総理大臣、53年「誰がために鐘は鳴る」のアンセルモ老人などがある。
「宝塚の大ファンだった姉のすすめで入団したんです。最初は何も知らず怖かったんですが、入団2年目からいい役をいただいてきて、しだいに好きになりました。戦時中には慰問にも行きましたよ。組長時代はまだ演出助手がいなかったので、陰で組子を教えることも多かったですね」
54年「白夜わが愛」を最後に退団。56年「海鳴りにもののふの詩が」で演技指導を始め、「夜明けの序曲」「風と共に去りぬ」「ベルサイユのばら」「忠臣蔵」「ダル・レークの恋」「天使の季節」「花舞う長安」など多数手がけている。
「まず演出の先生の言われることが一番。その趣旨をよく理解したうえで、気が付いたところを生徒たちにアドバイスするようにしています」。そして「宝塚のよさは和気あいあい。先輩のやってきたことを受け継いで、伝統を守っていってほしい」と提言した。
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