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宝塚大劇場雪組公演「霧のミラノ」「ワンダーランド」
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耽美的…ラストにひとひねり
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宝塚大劇場の雪組公演は、「霧のミラノ」と「ワンダーランド」の2本立て。朝海ひかる、舞風りらのトップ・コンビは充実期を迎え、美形が多い下級生の男役が、スターらしく育ってきた。
「霧のミラノ」(柴田侑宏作、中村暁演出)は、オーストリアの占領地になっていた1850年代後半の北イタリア・ミラノが舞台。祖国統一のために密かにレジスタンス活動をしている元貴族で市職員のロレンツォ(朝海)と、地元の絹織物業者の令嬢フランチェスカ(舞風)の恋をタテ軸に、亡命先から商人になって帰ってきたジャンバティスタ(水夏希)との友情、オーストリアの貴族で軍情報部少佐カールハインツ(貴城けい)との確執などを、ヨコ軸にからませて描く。
時代背景は殺伐としているのに、舞踏会シーンから始まるオーソドックスな演出、男役の上着丈の長いスーツや軍服姿のカッコよさ、娘役のすその大きく膨らんだドレスの優雅さが、耽美的なムードをかもし出す。象徴的に使われているひなげしの花の草原でのラブシーンも、美しく感動的だ。
そのままハッピーエンドなら、ただレトロっぽい歴史ロマンで終わったのだが…ラストは一転して悲劇に。いささか唐突だけれど、その衝撃によって、男たちの誇り、意地、生き方のダンディズムが浮かび上がってくるという、ひとひねりきいた作品になった。
「ワンダーランド」(石田昌也作・演出)は、おもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティーにとんだショー。トランプをイメージした衣装も楽しい。この公演から組替えで加わった水が、「白鯨へのレクイエム」で骨太なダンスを見せ、雪組に厚みが出た。また、「ハーレム・イン・アラビア」で男役の大湖せしるが扮するアラビアの美女が、ハッとするほど色っぽい。
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