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星組東京公演始まる
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長崎の幻想 江戸の哀切
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宝塚歌劇団星組「宝塚ミュージカル・ロマン『長崎しぐれ坂』−榎本民滋作「江戸無宿」より−」(脚色・演出、植田紳爾)「ショー『ソウル・オブ・シバ!!』−夢のシューズを履いた舞神−」(作演出、藤井大介)東京公演が8日午後、東京・日比谷の東京宝塚劇場で始まった。8月14日まで。
専科の轟悠が特別出演。星組トップター湖月わたる、娘役トップ檀れいとは14年の東京・日生劇場公演「風と共に去りぬ」以来3年ぶりの共演。檀はこの公演の千秋楽で退団する。
「長崎しぐれ坂」は江戸無宿のお尋ね者、伊佐次(轟)、彼を追う長崎奉行所の下っ端、卯之助(湖月)、堺の芸者、おしま(檀)の幼なじみが長崎で顔を合わせる。江戸・神田明神の祭り、長崎の蛇踊り、精霊(しょうろう)流しの踊りなど祭りの場面を巧みに取り入れ、幼い日は遠く変わってしまった境遇での再会を哀切に満ちたトーンで描く。専科の松本悠里の舞いが、その哀切さをいっそう濃くする。
「ソウル・オブ・シバ!!」は、この世に舞いを生み出したシバの魂が1人の青年(湖月)に吹き込まれ、現代のニューヨークを舞台に夢と熱狂をもたらすストーリー性のあるショー。ダンサーぞろいの星組の本領が発揮されている。
初日のこの日は午前に通し稽古が行われ、稽古後に轟と湖月が劇場内で会見。轟は「(湖月は)反応がよい。その反応を楽しみにしながら一回一回の舞台を大切にしたい」と述べ、星組への特別出演を楽しんでいると話した。湖月はも轟さんを見つめ、その変化を感じ取りながら芝居をしていきたい」と語り、轟に刺激されることでよりよい舞台を作りたい意向を示した。
会見の内容は以下のとおり。
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■湖月わたる 夏の暑い公演。元気に乗り切りたいと思います。よろしくお願いします。
■轟悠 雪組(「ミュージカル・プレイ『青い鳥を捜して』」「ショー・メッセージ『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』」)に続き星組さんへの特別出演です。お芝居、ショーともにわたるくんとぶつかりながら…ぶつかったら倒れますけど…ぶつかりあいながら東京公演…暑いですけれど、みんなとともにがんばりたいと思っています。よろしくお願いします。
──星組の印象は
■轟 そうですね、組というのは主演男役のカラーが浸透していると思います。一方で(創立以来)91周年ずっと重ねてきた組のよさというものもあります。今の星組はやはり湖月さん中心の星組。彼女といえばお芝居、ショーともに熱心で、これでもかとやっていくタイプ。エネルギッシュです。私はそのエネルギーをわけてもらいながら、ともにがんばりたいという気持ちです。東京公演から初舞台生が加わり大所帯です。専科の松本悠里さん、立ともみさんとともに私も専科部屋(専科の楽屋)にいて、「星組さんって、なんかにぎやかだなあ」と思いながら過ごしています。うるさいんですけど、いいなと思いながら。そういう組です。本当に明るい。彼女が物事をはっきりというほうだから、厳しく、楽しく、そういう組だと思います。
──星組における轟は?
■湖月 私が専科時代に初めて特別出演したのが(13年の轟がトップ時代の)雪組(「猛き黄金の国」)で、ほんとうにすごく緊張していて、轟さんと目を合わせてお芝居をするだけで心臓がバクバクしていた思い出があります。今回は轟さんに星組に出演していただく立場で、みんなが稽古場から食い入るようにみつめていました。あんなに静まりかえった稽古場も珍しいくらい。
■轟 私、そんなに怖かった〜?
■湖月 怖いというのではなくて、稽古にみんなが集中していました。ふたりでやらしていただく場面も多い。組の子たちに、今しかない空気を感じてもらえたらと精いっぱい(轟に)しがみついて稽古をしてきました。轟さんも楽しそうにしてくださって。アドバイスもしてくださるんで、(組の)みんなはとても“なついて”しまった。
■轟 でも、名前は覚えられないのよ。
■湖月 名前まではね。
■轟 顔は覚えて次の組に行くんですけど。やっぱり、この人はどういう人なのかということを知らないでは注意もできない。無責任に何かいいたくもない。私は出ている組を大切にしたい。だから今は星組を大切にしたい。
■湖月 今を大切にがんばりたいと思います。
──お互いをどう思うか
■轟 私はハートのある人と共演したい。本人を横にしていうのも照れくさいですけど、前に共演したときもそう思いましたし、そのときから変化している。それと、(湖月は)もともと星組の出身なのよね。
■湖月 はい。
■轟 だから実家に帰ってがんばっている、そんな感じです。
■湖月 (轟は)日々、お芝居が変わられたり、そのときによって出方が変わられたり。いかにも生でやってらっしゃるという感じ。卯之助が伊佐次にしたように轟さんを見つめ続け、変化を敏感に感じ取ってやっていきたいです。
■轟 「あ、こういうやり方もあるんだ」って気づくとやってみたくなるんですね。でも、そういうことは反応のできない人に対してはしないんですよ。事前の打ち合わせは一切しておりません。
■湖月 してくれないんですよ。
■轟 自分だって宝塚大劇場ではヘビのおもちゃを(1本出すところを)2本出したことがあったでしょう。微妙な変化は板の上に立った役者にしか分からない楽しみ。意地悪じゃなくて、どう反応してくるか。それが自分の勉強にもなる。ですから、ほんとうに一回一回の舞台を大事にしたい。
──芝居のほうは歌も少ない。芝居のやりがいは
■轟 やっているほうはあっという間ですね。踊りは幕明きにドンときています。精霊流しの場面などは九州人(轟は熊本県出身)としてはジンときます。
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