専科 樹里咲穂
ヒマワリのような笑顔で劇場にサヨナラ
宝塚歌劇団花組東京公演 は3日、東京・日比谷の東京宝塚劇場で千秋楽を迎え、9月の東京・日生劇場公演 で退団する専科の樹里咲穂が本公演最後の舞台を踏んだ。
この日は「ミュージカル『マラケシュ・紅の墓標』」「グランド・レビュー『エンター・ザ・レビュー』」終演後、樹里のサヨナラショーが行われた。約20分、過去の出演作やコンサートで歌ったミュージカル曲ばかりで構成。
銀橋の上で花組トップスター、春野寿美礼を相手に「You Are My Own」(宙組公演「ファントム」 より)を感動的に歌い上げ、春野としっかり抱き合うとひときわ大きな拍手が鳴り響いた。最後はコンサート「JUBILEE−S」で取り上げたスタンダード曲「ニューヨーク、ニューヨーク」。明朗なスイング曲に合わせて客席でペンライトが揺れた。CSチャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」で番組ホストを務め、明るく朗らかな魅力を振りまく樹里らしいショーだった。
退団者が舞台で挨拶する前に、組長が略歴を読み上げるのが恒例。この日も花組組長、夏美ようが樹里の略歴を朗読したが、「下級生時代に色気不足を指摘されました。未だに色気とは何か分かりません。だれか教えて〜」など、随所にユーモラスな記述があり、客席からは笑い声が起きた。こんなことも珍しいのでは。また、この中で退団を決意したのは宙組「ファントム」に出演したときだったと明かした。
しかし、緑のはかま姿で舞台に登場した樹里は、挨拶の中で「明るいとはいえない子供だった」と話した。ファン誌「宝塚グラフ」の取材で中学生から高校生までを過ごした母校を訪ねた際、恩師から「随分明るくなったな」と驚かれたエピソードを披露。自分でも「地味な子供でした」。そのうえで明るく積極的になれたのも宝塚に入団したから。「宝塚は私にとって一生の宝物です」と、支えてくれたすべての人たちへの感謝の言葉で結んだ。
花組の同期生、高翔みず希から渡された花束はヒマワリ。劇場前でファンに別れを告げるパレードはあいにく土砂降りの雨に見舞われたが、“太陽の花”は樹里に似合った。
9月の日生劇場公演「ミュージカル『アーネスト・イン・ラブ』」(1〜23日) 千秋楽で退団する。「9月まで、一歩一歩自分らしく進んでいきたい」。ヒマワリはまだ咲き続ける。
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