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演出家、小池修一郎:すみれの園を創る人たち
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虚構の魅力をさらに追求
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「エリザベート」「モーツァルト!」の大ヒットで、ウィーンからもオファーがあるミュージカルの人気演出家。
本拠地の宝塚大劇場では2月4日に、5組目となる月組公演「エリザベート−愛と死の輪舞(ロンド)−」が開幕する(3月21日まで)。死神トートを演じるトップスター、彩輝直の退団公演で、次期トップに内定した瀬奈じゅんが女役のエリザベートに挑む話題の舞台(関連記事:製作発表)。
「彩輝の摩訶(まか)不思議な妖(あや)しい魅力と、瀬奈の演技者としてのリアリティーのぶつかり合いが見どころ。かなりおもしろくなりますよ」と自信のある笑顔を見せた。
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昭和30年東京生まれ。慶応大学文学部卒。大学時代にアングラ演劇やミュージカルに傾倒し、掲示板で見た宝塚歌劇団演出部員募集に応募して、52年に入団した。
デビュー作は61年の宝塚バウホール「ヴァレンチノ」。振付は今をときめく宮本亜門で、若き才能が出合った秀作だった。「入団できたのは奇跡。デビューまで9年間経験を積んだことが、良くも悪くも私のベースになっている」
大劇場デビューは平成元年「天使の微笑・悪魔の涙」。3年「華麗なるギャツビー」で菊田一夫演劇賞を受賞し、4年「PUCK」、7年「JFK」などを経て、8年にウィーン・ミュージカルを潤色した「エリザベート」を雪組で初演して大ブレーク。宙組による10年の再々演では読売演劇賞優秀演出家賞を受賞した。近作は「カステル・ミラージュ」「薔薇(ばら)の封印」。
「人間でないキャラクターになぞらえて、人間の気持ちを表現する方が、男役ではやりやすい。理想に向かって突っ走り、現実の前に果たし得ない哀しさが、私の一貫したテーマ」という。
「モーツァルト!」など外部での仕事も増えているが、宝塚の魅力は「世襲制でなく、未熟でも若い女性が男性を演じることで、彼女たちにしかできない感性で、時代のニーズに合わせて表現できること」。そして、「宝塚は私の故郷。これからも虚構の魅力をもっと追求したい」と語った。
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