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演出家 太田哲則:すみれの園を創る人たち
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文芸作品を工夫して見せる
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星組による宝塚バウホール公演「それでも船は行く」の作・演出を担当している。主演が涼紫央(27日−3月14日)から、柚希礼音(3月18−27日)へとバトンタッチされる、実験的なバウ・ワークショップの第2弾だ。
「フランスからアメリカに向かう大西洋航路の客船を舞台に、船旅を“人生航路”に見立てて、最初の2日間の出来事を描くミュージカルです。いろんなことを勉強する踏み台になって、成長してくれればうれしい」と説明した。
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昭和20年兵庫・西宮市生まれ。43年関西学院大学社会学部を卒業して、宝塚歌劇団に入団した。
「映画『ウエストサイド物語』にショックを受けて、ミュージカルというものをもっと知りたくなり、先輩が多くいて近い宝塚に入ったんです。ぼくは白井先生(カリスマ演出家の鐵造氏)について、舞台の見せ方や色の配合など芸術的な部分のノウハウや、女性の生徒たちへの接し方を教わりました」
演出家デビューは54年の宝塚大劇場「カリブの太陽」。ニューヨーク、ロンドン、パリに留学後、バウで57年「ボン・ボヤージュ!」、60年「二都物語」など文芸小説を潤色した作品で評価を高めた。ほかに大劇場作品では「恋人たちの肖像」「剣と恋と虹と」など、バウでは「嵐が丘」「フィガロ!」「ホップ・スコッチ」などがあり、近年はバウ作品が多い。
「バウの方が時間的にじっくり作品に取り組めますね。わかりきった文芸作品をどういうふうに見せるか、に演出家としてのアイデアや工夫があると思うんです」
宝塚音楽学校の演劇講師として、61年から指導も続けている。
「教えているのは演劇の基本。発声法などのテクニック的なことと、役作りの仕方や考え方です。宝塚は学校制度をとったことで、舞台作りを通して学んでいくシステムが、うまく機能している」
そして次の100周年に向けては、「舞台に立つのは特別な人たちなんだ、というプライドと品格をもって、すみれの香りに包まれた感動をキープしていってほしい」と提言した。
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