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宙組大劇場公演評
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タカラヅカこそまさにレヴュー星!
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宝塚歌劇は昨年、創立90周年をにぎやかに祝ったが、続いて今年は日本初のレヴュー「モン・パリ」誕生77周年にあたる。元日に開幕した宝塚大劇場の宙組公演は、これを記念した「レヴュー伝説」(草野旦作・演出)と、海辺のリゾートホテルの再建をめぐるヒューマン・ドラマ「ホテル ステラマリス」(正塚晴彦作・演出)の2本立てだ。
「モン・パリ」の初演は昭和2年(1927)9月。生みの親の岸田辰彌(作・演出)をもじった主人公のクシダが、神戸港を出航してパリヘ着くまでの旅を、さまざまなロマンスや踊りでつづる作品だったという。
「レヴュー伝説」はそのクシダ(未沙のえる=専科)が、今ではレヴュー星の住人になっている設定。ある日、パリの裏町にいる余命いくばくもない娘ジジ(花總まり=写真左)を知り、幸せを与えてあげようと亡霊たちと地上に降り立つ。ジジはレヴュー小屋「エトワール座」を見るのが大好きで、看板スターのオーレリアン(和央ようか=同右)にあこがれていた。そんなジジを美しく変身させ、オーレリアンと一緒の舞台に立たせるが…。
満天の星と回り舞台をうまく使った装置がファンタジーの雰囲気を盛り上げ、どこかノスタルジックな音楽や香りが異次元に誘う。柔らかで甘くやさしい華やかな夢の世界は、終盤で77年後の宝塚の大階段につながる。そう! タカラヅカこそまさにレヴュー星なのである。
トップ・コンビのスキッとした美しさ、かっこよさに加えて、水夏希、大和悠河もレヴューが似合うスターだ。
「ホテル ステラマリス」は、伝統と格式を誇るカリフォルニアの小さなホテルを舞台に、倒産と乗っ取り、開発と自然保護といった現代的な問題に、恋の三角関係をからめて展開する。
何気ないセリフのやりとり、場面処理などは手慣れた演出だが、話のまとめ方が唐突で強引。大勢の出演者への役の割り振りも苦しい。和央の充実ぶりが光った。
※読者の公演評を「My ENAK」に掲載しています
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