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作曲家 甲斐正人:すみれの園を創る人たち
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オペラを宝塚ワールドで
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劇場音楽の第一人者。宝塚歌劇でも、芸術祭賞演劇部門優秀賞を受賞(平成15年度)した星組公演「王家に捧ぐ歌」の作曲家として名をあげた。現在、その名舞台が名古屋の中日劇場で再演されている(24日まで)。
「宝塚は生徒さんたち一人一人の、自分を開発していくエネルギーがすごい。その成長過程をお客さんともども、劇場で共有できるところが一番の魅力ですね。われわれスタッフの任務は、そんな彼女たちのよさを、作品の中でどれだけ啓発していけるか、がポイントかなと思います」という。
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昭和26年東京生まれ。東京芸術大学作曲科卒後、広瀬健次郎氏に師事。映画やTVなどさまざまなジャンルの音楽を経験し、日劇を皮切りにオリジナルミュージカル、芝居の作曲などを手がける。「蒲田行進曲」の映画音楽で58年度日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。宝塚での最初の担当作品は61年「ラ・ノスタルジー」だった。
「クラシック音楽家の家に生まれ、学生時代はロックバンドでドラムをやり、何でもやるマルチな師匠についたこともあって、幅広く音楽の仕事をしています。宝塚は岡田敬二さん(演出家)に誘われたのがきっかっけ。次第に一緒に仕事をする演出家仲間が増えてきました」
なかでも近年は脚本・演出の木村信司氏とのコンビで、「トゥーランドット」を下敷きにした平成14年「鳳凰伝」、「アイーダ」がベースの「王家−」と、オペラのミュージカル化に挑戦して新境地を開いた。
「音楽を増やす方向を考えると、オペラを日本人の新しい感性で、宝塚ワールドで再生する試みがあった。これを自分たちのスタイルにして追求しようと、無謀にもすごいことを始めたんです」
8月の大劇場宙組公演「炎にくちづけを」も、ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」をもとにした悲劇。「ここまできたらあらゆるオペラに挑戦して、最終的にはワグナーだねと、木村さんと話しています。日本人として東洋の精神を世界の舞台で紹介することがテーマですね」と夢は広がっている。
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