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月組「エリザベート」大劇場公演始まる
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寒さを吹き飛ばす熱気!! 伝わる彩輝の意気込み
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月組トップスター、彩輝直の退団公演となる大ヒット・ミュージカル「エリザベート−愛と死の輪舞(ろんど)−」が4日、宝塚大劇場で初日の幕を開けた。8(1996)年2月に雪組で初演したこのウィーン発ミュージカルは、星組、宙組、花組と次々に上演して、今回の月組で5組すべての公演がかなったことになる(関連記事:月組「エリザベート」制作発表)。
タイトルロールのエリザベート役を演じるのは、次期トップが内定している瀬奈じゅん。「風と共に去りぬ」のスカーレット役に次ぐ2度目の女役の大役への挑戦である。人気演目に加えて、話題満載の舞台とあって、早朝から当日券を求める列ができ、寒さを吹き飛ばすファンの熱気だ。
舞台の幕が開くと、ルキーニ役の霧矢大夢が登場。口ひげをつけ、頬が少しスリムになって精悍(せいかん)な感じ。セリフの口跡がよく、歌詞がはっきり聞き取れる。
エリザベートの肖像画から飛び出した瀬奈は、かわいい笑顔としぐさに加えて、思っていた以上にカン高い声で話すことに驚かされた。男役のイメージは全くない。
そして、彩輝トートが黒い羽根を背負って不気味に登場。銀髪に黒髪が混じったロングヘアに憂いを帯びた表情で、両性具有の妖しい雰囲気をかもし出す。声も大きく、しっかり出ていて、この作品に賭ける意気込みが伝わってきた。黒ずくめの衣装のほか、深紅、紫、白、フィナーレのダンスシーンの銀…と着こなす衣装に、コーディネートされたブーツも注目だ。
瀬奈はしだいに自我に目覚めていくエリザベートを、デリケートな演技で表現。寝室で歌う「私だけに」の高いキーを見事に歌いこなした。第1部のラストの鏡の間でのドレスアップした姿も美しい。第2部はより大人っぽさと力強さを感じるエリザベートで、押し出しとキメのよさはバツグン。低い声のセリフや何気ない歩き方に、フト男役が顔を出すこともあるが、スカーレット役を上回る好演である。
フランツ皇帝役の初風緑は、受けの芝居と歌のうまさはさすがだが、後半は瀬奈の迫力にやや影が薄い。皇太后ゾフィー役の美々杏里の堂々たる歌唱が際立ち、フィナーレのエトワールも勤めてこの公演で退団する。ルドルフ皇太子役の大空祐飛は繊細で悩めるイメージ。ハンガリーの革命家役は月船さらら、北翔海莉、真野すがたの3人、エリザベートの両親役は星原美沙緒、夏河ゆら。
ほかにヘレネ役の花瀬みずか、少年ルドルフ役の彩那音がかわいい。ただ、花瀬が瀬奈の姉役というのは無理があるかも。マダム・ヴォルフ役の嘉月絵里、黒天使と人魚のマデレーネ役を兼ねる城咲あいのうまさが光った。
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