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専科 城火呂絵、退団 数々の名演 46年間、宝塚一筋
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「死ぬまでいたいけど…」後輩に期待
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宝塚歌劇団専科の大ベテランで日本舞踊の名手、城火呂絵(じょう・ひろえ)が、宝塚バウホールで上演中の「くらわんか」(谷正純作・演出)の出演を最後に退団する。昭和34年に初舞台を踏んでから46年間も宝塚一筋。6日の千秋楽にはサヨナラショーも加わり、後輩たちの歌う「宝塚我が心の故郷」に送られて有終の美を飾る。
「宝塚はホントにいいところ。自分の好きなことをやれて、努力すれば報われる。死ぬまでいたいと思うけれど、そうもいかない。下級生も次々に立派に育っているし、昨年あたりから、そろそろ(退団を)決心しなくてはと考えるようになったんです」と城。
品のいい楚々(そそ)とした風情の娘役で、「西川絆(はん)」の名取り名を持つ得意の日舞を活かして、とくに日本物ショーで活躍。50年に雪組から専科に移ってからは、「宝塚をどり讃歌」の瞽女(ごぜ)役、「若き日の唄は忘れじ」の登世役、バウ公演「散る花よ、風の囁(ささや)きを聞け」のお縫役など、数々の印象的な役を好演してわきを固めた。最近ではバウ・ワークショップ「春ふたたび」のやす役、東京・日生劇場公演「花供養」の冴月役などで存在感を見せつけ、昨秋の宝塚舞踊会で舞った地唄舞「雪」の名舞台は忘れがたい。
「『春ふたたび』のやす役は若いころからのあこがれの役で、演じられてホントにうれしかった。昨年の『花供養』を最後にしようと思っていたんですが、そのころに『くらわんか』のお話をいただいて。『雪』を舞わせていただいたときは、退団を決めていたので吹っ切れた感じで踊れましたね」
最後の舞台となる「くらわんか」は、上方落語と近松心中物語の主人公たちが交錯する荒唐無稽(むけい)な人情喜劇で、城は“死にぞこないの梅川”というユニークな役を演じている。「冥途の飛脚」の後日談として、相思相愛の梅川・忠兵衛は心中しようと駆け落ちしたが、追っ手に捕まり忠兵衛は磔(はりつけ)に。梅川は遊女屋に連れ戻されて年季を終えたものの、忠兵衛が忘れられないという設定だ。
「物語の筋とは関係なく、出囃子にのって突然、舞台に登場してこける役。毎公演で6回はこけていますね。風変わりなおもしろい役を谷先生が作ってくださって、こんなに明るく楽しい作品で終わるのはホントに幸せ。じつは何も言わず消えるように退団するつもりだったんですが、けじめは大切だとアドバイスされて。異例のサヨナラショーまでやらせていただけるのは、身に余る光栄です」
退団後については「とくに何をやるとは決めていません。日舞のお稽古だけは続けるつもりです」と話している。
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