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花組 「落陽のパレルモ」「ASIAN WINDS!」宝塚大劇場公演
男役の美学…凛々しい軍服姿披露
12月5日(月) 大阪夕刊 by 平松澄子
花組大劇場公演 “男役の美学”の究極を表現する衣装に、タキシードと並んで軍服がある。花組公演「落陽のパレルモ」(植田景子作・演出)は久しぶりに、軍服姿の凛々しい美しさを味わえる作品だ。

イタリアのシチリアが舞台で、幕開きは1942年のナチス体制下。ユダヤ女性(遠野あすか)と恋に落ちたイタリア貴族の末裔(まつえい)(彩吹真央)が、19世紀半ばの曽祖父たちの時代を回想する。解放軍戦士だったヴィットリオ(春野寿美礼)と名門貴族の長女アンリエッタ(ふづき美世)が、許されざる恋の果てに結ばれる物語を。

その過程でヴィットリオの母と貴族だった父の悲恋が明かされ、3組の身分や時代を超えて生き続ける愛の軌跡が、多重的に描かれる。

なかなか凝った構成で、名画を効果的に使った装置が風格を感じさせ、宝塚らしい見せ方もうまい。春野は赤、紺、白…と着替える軍服がすがすがしく似合い、この公演で退団するふづきが最高の輝きを見せている。

ハッピーエンドも気持ちいいのだが、ラスト10数分で一気に終結させたのはあまりにも安易。三つの時代をつなぐつじつま合わせより、19世紀だけの愛の物語で完結したほうが、すっきりしたように思う。

「ASIAN WINDS!−アジアの風−」(岡田敬二作・演出)は、オリジナル・レビューを志向するロマンチック・レビューシリーズの第16弾。男役だけのモンゴルの勇壮な群舞から始まり、沖縄、中国、「東京ブギウギ」など服部良一メロディーをとりあげた日本、韓国、フィリピン…と、アジアの今昔を舞台にした歌と踊りが展開する。

大河の流れをイメージした中国編のセットや映像、津軽三味線の伴奏で踊るボレロが新鮮。アジアの音楽の多様さを再認識するとともに、東洋と西洋の垣根がグッと縮まった感じがした。









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13日まで、宝塚大劇場。

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