|
星組娘役トップ 檀れいが退団
|
| | |
届け! 精いっぱいのありがとう
|
| | |
宝塚歌劇団星組娘役トップ、檀れいが14日午後の「長崎しぐれ坂」「ソウル・オブ・シバ!!」東京公演千秋楽で退団した。終演後、東京・日比谷の東京宝塚劇場前に並んだ約4000人のファンに向かって「みなさん、愛してま〜す」と、ありったけの声を挙げ、足かけ14年を過ごしたタカラヅカに別れを告げた。退団後は女優として活動を続ける。10月29日に大阪・梅田芸術劇場、同31日に東京・渋谷のオーチャードホールで上演される舞台「夜叉ケ池」が控えている。
千秋楽のこの日はショーの「ソウル・オブ・シバ!!」終演後に退団者のための特別な演し物であるサヨナラショーが行われ、「王家に捧ぐ歌」など出演作品から10曲を選んで熱唱した。幕開けは第2回中国ツアー(2002年9〜11月)の「サザンクロス・レビュー・イン・チャイナ」から「永遠」。中国の観客を魅了し、中国読みの「タン・リー」名で親しまれた檀ならではの中国語詞でのスタートだ。情熱的な真っ赤なドレス。「BLUE MOON BLUE」(12年)の「ENDLESS DREAM」では20人の男役を従えて踊り、16ビートに乗りながら銀橋を渡って絶唱。
着替えて真っ赤なローブを羽織って登場してからは特別出演の轟悠(専科)、安蘭けいとデュエット。「風と共に去りぬ」の「二つの手」ではトップスター、湖月わたると両手を取り合い、みつめあいながら美しいハーモニーを聞かせた。湖月がローブをとると純白のドレス姿に。「檀れいミュージック・サロン」で歌った感動的な旋律のバラード「あなたに逢いたい」で、約15分のショーを締めくくった。
|
「檀ちゃん、目線をお願いします」。ENAKのカメラにほほえみでこたえてくれた檀れい=東京宝塚劇場前 |
ショーの後、タカラヅカの正装である緑のはかま姿に着替えた檀は、「仲間たちが元気をくれる。そんな日常に別れを告げます。たくさんの人生を教えてくれた(これまで演じた)女性たち、ありがとうございます。タカラヅカを愛してくださったみなさま、ありがとうございました」と、感謝の気持ちを次々と口にした。そして「仲間たち。こんな私を支えてくれてありがとうございました」というと客席に背中を向け、後ろに控えている星組メンバーに向かって深々と頭を下げた。
「新たな扉の向こうにあるのがどんな世界なのか分かりません。でも、ここでいただいたお心を胸に羽ばたきたいと思います。すべてのみなさまに、本当にありがとうございました」。最後まで凛(りん)とした姿勢を貫いたが、緞帳上げ(カーテンコール)で客席が総立ちになると、あふれる涙でうつむいた。
その後、東京宝塚劇場前で、ファンの前を練り歩く、退団者恒例のサヨナラのパレード。報道陣の前で撮影の求めに応じて立ち止まると、「こんなにすがすがしい気持ちでこの日を迎えられるとは思ってもみませんでした。これまで見守ってくれた仲間たち、タカラヅカを愛してくださったファンのみなさまのおかげです」と、しっかりした声で話した。
撮影が終わるとスタスタと報道陣の前を離れ、楽屋口から報道陣前まで歩いてきた道をクルリと振り向き、左手を口の横に当て、「みなさーん、愛していまーす」とありったけの声で叫んだ。約4000人のファンに最後の言葉を届けた。“美貌の娘役”に似合わない、大胆かつおてんばなパフォーマンスだが、サヨナラショーの後、挨拶のために緑のはかまに着替えている間に組長の英真なおきが読み上げた、檀の退団の心境をつづったメモには、こう書かれていた。
「タカラヅカで過ごした夢のような時間を言葉にすることはできません。ごめんなさい。ありがとうをだれに言えばいいのか。ありがとうを何度言えばいいのか。ありがとう。それだけでは、この思いは伝わらないかもしれません。それでも精いっぱいのありがとうが、あなたに伝わりますように」
精いっぱいのありがとうは、きっと伝わった。
|
「みなさん、愛しています」。大きな声でファンに思いを告げ、喝采を博した=東京宝塚劇場前 |
この日はほかに美琴さなえ、大河睦、仙堂花歩、嶺恵斗も退団した。
|
| | | | | | | (C)2005.The Sankei Shimbun All rights reserved. |
|