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花組「マラケシュ・紅の墓標」 宝塚大劇場公演
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魅力 乾いたエキゾチズム
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第91期47人の初舞台生の初々しい口上とラインダンスが楽しい、春の宝塚大劇場公演は花組による2本立て。9月に退団する専科の樹里咲穂には宝塚での最後の公演で、その実力を存分に発揮している。
ミュージカル「マラケシュ・紅の墓標」(荻田浩一作・演出)は、1920年代の北アフリカ・モロッコの都市、マラケシュが舞台。当地のホテルに滞在している謎めいた男リュドヴィーク(春野寿美礼)は、行方不明の夫を探してやってきたロシア人女性オリガ(ふづき美世)と出会う。互いに心に傷を持つ2人はしだいに惹(ひ)かれ合い、共に新しい人生を夢見るが…。
主役2人の話を要約すると簡単なのだが、リュドヴィークの仕事仲間で混血のレオン(樹里)、パリ時代の元恋人のレビュー・スター(遠野あすか)、ホテルのオーナー(夏美よう)ら、いろんな思惑を秘めたさまざまな人たちの過去と現在が交錯して描かれる。
その観念的で複雑な構造は、計算された荻田演出の魅力でもあるのだが、一度見ただけではよくわからない。大勢の出演者を生かす難しさはあるだろうが、枝葉を整理してもうひと工夫を望みたい。春野は影を背負う大人の男を好演。乾いたエキゾチズムあふれる舞台に、鈴懸三由岐が舞う蛇の化身が妖しく効果的だ。音楽も美しい。
グランド・レビュー「エンター・ザ・レビュー」(酒井澄夫作・演出)は、レビューの原点でもあるパリの香り豊かな作品。間にジャズやスパニッシュのシーンも入っているが、近年のアメリカンナイズされたショーとは異なり、全体に懐かしくやさしい、よき時代の味わいを感じる。春野の女役も話題。
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