そうした活動が、レコード会社などに伝わり、デビューの話がきたということですね。デビューアルバム「YANO SAORI」をコロムビアミュージックエンタテインメントから出したのが平成15年9月。そして、2作目「02」。さて、これはどんな作品なのですか。
デビュー作同様、パーカーの曲、スタンダード、自作曲で構成しました。伴奏陣も前回参加してくれたトリオ。本当は、作り方をガラッと変えたほうが、聴いてくださる方には違いが分かりやすいですよね。だけど、前作とほぼ同じ。聴く側にすれば何かがよくなっていなければおもしろくない。そのことは、プレッシャーになり、クオリティーを上げなくてはとがんばりました。
録音を通じて、でいちばん難しかったのはなんですか?
オリジナル曲を聴いてほしい
オリジナルの「ザイオン」という曲。ビートがまったくないままベースとデュオをするところもそうだし、そもそもコード進行が難しい。一般に、曲は8小節ごとに解決音をもっていますが、この曲は最後まで出てこない。それと最初からずうっとマイナーだけど、解決音だけメジャーになるとか。
ピアノのハロルド・メイバーンは大ベテラン。そうした共演相手に対し、スタジオでは14歳のあなたがリーダーとしていろいろと指示を出さなくてはならない立場でもありました
ニューヨークのミュージシャンたちは、「管楽器奏者がリーダーだ」という意識があるみたいです。最初はとまどいましたが、最近は自分のやりたいことが明確になって、はっきりと指示できるようになりました。
アルバム「02」で、いちばん聴いてほしいのは?
やはり、私の自作曲を聴いてほしいです。今回はオリジナルが4曲ありますから、バランスのいい選曲になったと思っています。
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それにしても、最近はではジャズを聴く若い人は少ない。そういう中で、あなたがパーカーにひかれたのは、不思議です
パーカーを非常に尊敬しています。演奏家は挑戦心がないとだめだということを教わりました。つまり、楽器をどんなに正確に早く操れても、それだけではだめだということを。パーカーは、たとえば後輩のソニー・スティットのような器用さを持ち合わせていない。パーカーのほうが音楽のとらえ方がおおざっぱだし、失敗も多い。だけど、彼にしかない独自のスタイルをもっている。パーカーのソロをコピーするのは勉強になる。教科書なんです。どこまでコピーてきるか挑戦したいです。
チャンスはつかみ取りにいかなくちゃ
そのスティットは、パーカーに心酔するあまり、「パーカーのコピーにすぎない」と中傷され、楽器をテナーサックスに変えるなど苦労もしましたが
パーカーのコピーだといわれることは、今の私にとっては光栄です!
でも、14歳でライブハウスに電話するなんてすごい子供でしたね。よく、そんなことができましたね
たぶん、私は怖いんです。普通の人のように機会が訪れるのを待っていたら、つかみそこなってしまうんじゃないかって。こちらからつかみにいかなくては、だめだと。そんなふうに思っていたんです。だから、じっとしていられなかったんです。
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