ヒットの舞台裏
松下電器 「ナノケア」はこうして生まれた!
東京朝刊 by 津川綾子
このドライヤー、男性に売れているという。とはいえ、髪をドライヤーで乾かしたり、スタイリングをするといった従来的な用途がうけたのではない。ドライヤーから吹き出す「ナノイーイオン」で頭皮をケアする機能が、30〜40代の男性に支持された。
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松下電工ビューティ・ライフ事業部の岩田和也課長 |
「発売前の社内展示会で、頭髪に気を使っている男性役員がポロッとこぼした『コレ、ほしいなぁ』という言葉を聞いたとき、男性にもイケる!と確信しました。発売してみたらユーザーの約4分の1が男性。新たな顧客層を取り込めたと思います」と、開発を担当した松下電工ビューティ・ライフ事業部の岩田和也課長(36)は話す。
同社の調べによると、男性の頭髪の悩みの第3位は「地肌が脂っぽい」。ナノケア(販売・松下電器)を使った男性からは「以前は頭をかくと、つめの間に皮脂がついたが、ナノケアを使ったら少なくなった」「頭皮のベタつきがなくなった」との感想が寄せられた。
ベタつきを取り除いているのはドライヤーから吹き出す「ナノイーイオン」。水に高電圧をかけて作り出した弱酸性、直径18ナノメートルの微細な粒子を頭皮に吹き付けることで、頭皮にへばりついた皮脂がゆるみ、はがれやすくなり、シャンプーで流せばさっぱり感が訪れる。またナノイーイオンは水分を抱き込んだまま髪や地肌に浸透して、潤いもあたえる。
初代「ナノケア」が市場に登場したのは平成17年。その数年前から「乾かす」用途に「ヘアケア」機能を加えたマイナスイオンドライヤーが市場にあふれ、各社とも次の一手を探していた。そこでスポットを浴びたのが、空気清浄機に使われていたナノイーイオン技術だった。「あんな大きな機械を小さなドライヤーにつめこむことができるのか。そこが一番の苦労のしどころでした」。空気清浄機では鉛筆ほどの太さのセラミックを6本必要としたナノイーイオンを作り出すシステムを、ボールペンのしんのように細くコンパクトにしてドライヤー上部におさめた。
マイナスイオンよりも1000倍(自社比)も水分を含み髪を潤すナノイーイオン。美髪ブームに乗って、天使の輪を光らせてみてはいかがだろうか。
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