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足の骨が人間に近い形状だった
「風太」はなぜ直立するのかを解明
   東京朝刊
直立不動の姿を見せるレッサーパンダの「風太」(撮影・大井田裕)
直立不動の姿を見せるレッサーパンダの「風太」(撮影・大井田裕)
直立姿勢を取ることで話題になったレッサーパンダは、後ろ足の骨が直立に適した形状で、人間の足に近い特徴を備えていることが防衛医科大などの研究で分かった。千葉市動物公園で人気を集める「風太」の行動観察や骨格の分析で解明した。11月に高知県で開かれる日本人類学会で発表する。

レッサーパンダが直立することは以前から知られていたが、絶滅危惧(きぐ)種のため個体数や骨格標本が少なく、形態学的なメカニズムはほとんど研究されていなかった。

防衛医科大の松村秋芳講師(人類学)らは、同動物公園で風太など成獣2匹の行動を約1年間にわたって観察する一方、大腿(だいたい)骨などの標本を分析し、直立姿勢と骨格形態との関係を調べた。

その結果、大腿骨は体の前後方向の曲げに強く、直立に適した形状だった。また、大腿骨の下端のひざの部分は平らに近い楕円(だえん)形で、立ったときに体を安定して支えることができ、サルより人間に近い機能性を持っていることが分かった。

レッサーパンダが立つのは、敵がいるかどうか遠くを見渡したり、自分の存在を仲間にアピールするためなどと考えられているが、理由はよく分かっていない。松村講師は、最初は木登りの際に立ち上がっていたが、それに適した骨格を獲得したことで、地上でも立つ習性を身に付けた可能性があるとみている。

松村講師は「人間の祖先は、樹上から草原に生活の場を変えたことで直立するようになったとの説を補強する材料が得られた。レッサーパンダは二足歩行の起源を探るモデル動物になるかもしれない」と話している。

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