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新作「アジアの女」/「イヌの日」
長塚圭史 新作、改訂作を連続上演 
  東京朝刊 by 柳谷昇子
劇作家、演出家、そして俳優でもある長塚圭史の作・演出作が続けて上演される。きょう28日から新作「アジアの女」が始まり、11月には主宰する阿佐ヶ谷スパイダースにより「イヌの日」を再演する。

劇作家、演出家、そして俳優でもある長塚圭史さん(撮影・柳谷 昇子)

「アジアの女」は、大地震に見舞われた2010年の東京が舞台。壊れた街の片隅でひっそりと暮らす兄弟を軸に、情報とモノにあふれていた状況から、一変して多くのものを失った現代人がどこに向かっていくのかを問いかける。

「復興のときの人間の力ってすごいものがあると思う。単なる街の再生ではなく、いろいろな問題を抱えた人たちが、崩壊した中でどう新たな生き方を探していくかを意識して作った」と長塚。

セットは壊れた家のみの舞台の両側に客席を設ける。大がかりな転換などはなく、5人の出演者による会話で濃密な劇空間を生み出していく。

「ちょっとつまずくといろいろなものをとりこぼしてしまうし、役者にとっては逃げ場のない、つらい舞台ですが、観客とともに空気をつくりたい。想像力をふくらませつつ、ラストがどう映るのか。いい初日になると確信しています」

一方の「イヌの日」は6年前に初演された。表現衝動をシンプルに突き止め、自身の創作活動のターニングポイントとなった作品として位置づけている。

定職につかず遊び暮らす男が、仲間から仕事を頼まれる。留守の間、“ある人たち”の世話をしてほしいという。大金につられて男は安請け合いするが、“ある人たち”は恐るべき状況下にあった…。

社会的事件を題材にした作品だが、時代に合わせて改訂。新しいキャストで上演する。

「短期間公演をぽんぽんとやって、やり捨ててきた感もあるので、過去の作品を見直していくのもこれからの作業。ロングラン公演ができない分、改訂再演によって作品を成長させたい。自分のペースで、そのとき思ったもの、興味があるものを作っていきたい」



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記事関連情報
「アジアの女」

東京・初台の新国立劇場小劇場で10月15日まで。出演は富田靖子、近藤芳正ら。(電)03・5352・9999。「イヌの日」は11月9日〜26日、東京・下北沢の本多劇場で。出演は内田滋、剱持たまき、八嶋智人ら。(電)03・3466・0944。